「ヒヤリ・ハット」

税務調査は利益状況に応じて行われるケースが多いですが、労働基準監督署の臨検(調査)は労働者がいれば対象になります。
 タイムカード、就業規則、労働・残業時間管理など書類整備の他、労働環境の調査もあり日々の管理・整備が大切になります。
 
 臨検は主に定期的なもの、通報によるもの(関係者からの密告など)、労災事故が多い場合に行われます。
 定期的なものは歓迎?できるくらいの余裕が理想ですが、通報・労災による調査は是非避けたいものです。

 重大事故を防ぐための教訓として「ハインリッヒの法則」という有名な経験則があります。
別名「1対29対300の法則」とも呼ばれており、1件の重大な事故・災害(=重傷者が出る程)が発生した場合、29件の軽微な事故・災害(=軽傷者が出る程)が既に発生しており、300件のヒヤリ・ハット(=怪我人は出ないものの、ヒヤリとした出来事)が既に発生しているというものです。
 アメリカの損保会社にて技術・調査部の副部長を務めていたハインリッヒが約5,000件にも及ぶ労働災害の内容を調査した結果発見した法則です。
 重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例(ヒヤリ・ハット)の発見は労災事故に限らず、個人レベルでもたくさんあると思います。
 
軽微なミスを改善しないと、大きなミスに繋がる、ということを常に意識できる従業員を増やすことは大切ですし、ヒヤリ・ハット体験を「大事にならずに良かった」と個人レベルの安堵で済ますのではなく、積極的に共有し改善できるような職場作りが大切です。
 既に、改善対策として導入している会社も多いと思いますが、社内整備の一つとして参考になればと思います。

「素敵なオフィス」

 担当させていただいているお客様で、オフィスの新設を計画している会社があります。
 従業員の士気を高めるためのオフィスというコンセプトで、色々考えられているようです。

 オフィスといえば、今まで訪ねたことがある中で忘れられないオフィスは、東京のグーグルのオフィスです。
 従業員が家族や友人をオフィスに招待できる制度があるらしく、勤めている友人に招待してもらいました。
 日本屈指の賃料の高さであろう六本木ヒルズを贅沢に使い、ゆったりとした配置の中に様々な工夫が施されていました。
 会議スペースは部屋ごとに趣向が凝らされ、お祭りをテーマにしたスペース、銭湯をモチーフにしたスペース、和室など、遊び心に富んだ部屋が次々と現れて、一瞬会社ではなくテーマパークに来ているような気がしました。
 休憩場所も、巨大な画面にグーグルマップが表示されていたり、防音室に楽器が置いてあったり、卓球台が置いてあったりといった具合。
 カフェスペースでは飲み物や軽食がいつでも取り放題、社員食堂も多種多様なメニューが無料で食べ放題でした。
 
 こんなに素敵なオフィスに勤めていたら、どんな気分になるのでしょう。
一般的に、きれいなオフィスでも毎日通っていると当たり前になってしまうという話を聞いたことがあります。
 しかしさすがにグーグルの場合は、メディアでも取り上げられるほど圧倒的な快適さを誇るだけあり、従業員にも好評で満足度が高いようでした。

 これは極端な例としても、毎日長時間過ごす場所ですから、オフィスを整えることはそこで働く者にとって案外影響が大きいのではないかと思います。
 人手不足の昨今、採用や従業員の定着に、素敵なオフィスが一役買うかもしれません。
 冒頭の、お客様の新設オフィスの完成が楽しみです。

「海外口座保有者の方へ」

平成29年から、CRS (Common Reporting Standard :共通語報告基準)の導入によって、各国の非居住者が持つ金融口座情報が各国の税務当局間で自動的に交換されることとなりました。

これは、外国の金融機関に保有する口座を利用した国際的な租税回避を防止するために制定された制度です。
つまり、私たち日本の居住者が海外に持つ銀行等の口座残高や収入金額等の情報が日本の税務当局に提供されることになるのです。

このCRS には現在、日本を含む100以上の国と地域が参加しており、参加各国に所在する金融機関は、管理する金融口座から税務上の非居住者を特定し、その人の口座情報を自国の税務当局に報告する仕組みのようです。
そして、報告された情報は各国の税務当局間で相互に共有されます。
平成29年分からが対象とされていますが、ケイマン諸島やバミューダ諸島などのいわゆる”タックスヘイブン”と呼ばれる地域も含まれていることが大きな特徴です。

国内ではマイナンバー制度がスタートし、国外金融口座についてはCRS が導入されるなど、個人や会社の財産管理方法が制度化されつつあるようです。当初は煩わしさばかりが先行しますが、使い勝手の良いものになるといいなと思います。

「ご挨拶」

 この度、子供を授かりまして、8月からお休みを頂くことになりました。

 入社当時から担当させて頂いたお客様とは5年ほどのお付き合いになりますが、年数を重ねるごとにお客様が思っていることを想像できるようになり、徐々に信頼関係も深まっていったように感じます。

 様々なお客様と出会い、お話をするなかで、考えさせられることや気付かされることも多く、私もそれに応えようと取り組むことで、会社の成長とともに自分自身も成長できたことを嬉しく思います。

 また、代表の石田をはじめ、石田会計のスタッフにも良い刺激を受けました。
 特に石田の前提を覆すような発想力にはいつも驚かされ、良い勉強になり、貴重な財産となっています。

 石田会計の仕事とプライベートを両立できる職場環境にも大変感謝しています。
 税理士資格取得のための受験勉強や、大手税理士法人での激務も充実した毎日でしたが、その分、プライベートにさける時間は減っていたと思います。
 やりがいのある仕事をしながら、プライベートでも心の余裕ができ、結婚・妊娠とさらに充実した日々を送ることができました。

 今後は子育てをしながら、もっと幅広く、新しい視点で提案やお話しができるよう、自己研鑽に努めたいと思います。
 担当させて頂いたお客様、石田会計の皆様、本当にありがとうございました。
 また皆様とお会いできる日を楽しみにしております。

「株価評価方法の変更」

 税務署内部の文書(調査官が従うもの)である財産評価基本通達というものが、平成29年4月27日付で一部改正された。
財産評価基本通達は、基本的には相続税や贈与税の場面で準拠するもので、大きな会社であろうと小さな会社であろうと、上場していない会社の株価を算定するのは難しいので、株価の算定方法が定められているのだが、上場していない会社の株式評価に関して基準が変更された。

 中小企業の株価を算定する際には、特殊な企業を除いて、貸借対照表の純資産の価額を使用した方法と、類似業種の会社を比較した方法を併用して評価することになる。
 債務超過会社などを除き、一般的には純資産の価額を使用した方法のほうが株価が高くなるので、できるだけ類似業種の会社を比較した方法の割合を増やしたほうが、株価引き下げ効果が出るのである。
 今回、一部を除いて類似業種の会社を比較した方法を使えるハードルが下がったため、中小企業によっては株価を引き下げられる可能性がある。

 さらに、類似業種の会社を比較した方法の計算過程において、評価会社の利益金額の影響度合いが3/5から1/3に低下したため、それなりに利益を計上している会社は、同じ決算内容だったとしても株価を引き下げられる可能性がある。

 基本的には相続税や贈与税の場面で使用する評価通達なので、株価を低く抑えられたほうが税金は少なくて済む。
 過去から決算内容に変化がないにもかかわらず、株価が下がる場合もあることから、株主の異動をお考えの方は担当者までご相談いただければと思います。

「目で見ることの重要性」

先日、岐阜県の郡上に行ってきました。
青年税理士連盟では毎年夏に家族懇親会が開催され、今年の懇親会候補地の一つに郡上があがっているので、その下見のためです。
郡上を訪れるのは初めてだったので、城下町を散策したり、地酒を嗜んだりしました。

楽しい時間を過ごすことができましたが、主たる目的は懇親会候補地としての下見です。
当日は100人規模での開催となるので、責任重大です。
家族懇親会なので、お子様が楽しめるような施設はあるか、天候が悪い場合でも楽しめるか、といった点を重点的に確認しながら散策をしました。
その結果、食品サンプル作りや全天候型施設でのBBQなど、候補地として十分という結論に至り、一安心しました。

ただ、下見に行く前と行った後では、当日のプランは大きく変わりました。
例えば、郡上おどり体験を鍾乳洞見学に変更したことや、食事を膳形式からBBQに変更した点です。
下見前にホームページなどを確認し、ある程度のプランは練っていたのですが、実際に足を運んでみると、事前の印象と違ったり、規模的に厳しいと感じたことが変更に至った要因です。

実際に足を運んだことにより、こういった変更にも対応できたとともに、当日の運営に際しての留意点などに気付くこともできました。
このことは仕事にも通じるものがあると思います。
インターネットなどの情報を鵜呑みにせず、自分の手で調べ、目で見ることにより、確信を得たり、新たな発見をすることが大切であると改めて感じました。

「年度更新時期ですね」

今年も労働保険料の申告時期になりました。
 景気がよく、失業率も低いので今年も雇用保険料率低下で、保険料負担が減っている会社も多いのではないでしょうか。
 
 労災保険については通勤災害補償の改正がありましたので少し紹介します。
労災保険は仕事中(業務災害)と通勤中(通勤災害)の怪我などに支払われる全額会社負担・政府運営の保険です。

 通勤災害は基本的に、職場と住居地の「合理的な通勤経路」での事故に対して補償があります。
 例えば、仕事帰りに友人と飲み会にいくと通勤経路の「逸脱」、通勤経路途中の習い事などは通勤「中断」とされ、その後の帰宅経路での事故についても補償対象外になります。

 原則、「寄り道」に厳しい労災ですが、日常生活上必要な行為の「中断」については、中断から通勤経路に戻った際の事故は労災補償とされています。
 具体的には・・・
通勤途中の保育園の送迎、日用品の購入、選挙に立ち寄る、病院に寄る、継続的な要介護親族の介護などが認められています。
 
 今年の1月からは要介護親族の要件が緩和されています。
以前は、要介護状態であっても孫、祖父母、兄弟姉妹は同居・扶養要件がありましたが、
今年から配偶者・子・父母・配偶者の父母と同様に同居・扶養要件なしとなりました。

 育児・介護離職を防ぐ趣旨で、育児・介護休業法が頻繁に改正されていますが、労災の面からも仕事と育児・介護の両立に対して補償が手厚くなっています。
 労災対象ではない事故については健康保険などの補償範囲ですが、労災の補償内容は比較にならないほど充実しています。

 労災保険は社会保険料や雇用保険のように給与天引きがなく、従業員さん自身が加入しているという意識は高くないかもしれませんが、この時期には知識を深めるいい機会にしたいですね。

「付知峡」

 ゴールデンウィークに中津川の付知峡に行ってきました。
 私が住んでいる同じ岐阜県内でも付知峡までは片道2時間ほど掛かりましたが、この時期は新緑がとてもきれいで、道中の山々を眺めているだけでもとても気持ちよくて楽しめました。

 ひとまず昼食候補のお店にたどり着きましたが、ロケーションも良さそうだったので、予定通りそのお店でご飯を食べることにしました。
 お店への専用の吊り橋を渡ると、ネットに投稿されていた写真以上の景色が広がっていて感動しました。
 川の水の色は透き通ったエメラルドグリーンで、小さな滝もあり、絶景でした。

 川床ではお店自慢の岩魚中心の料理を頂きましたが、塩焼きはもちろん、刺身がとてもおいしかったです。
 少しずつ盛り付けられている山菜も一つずつ丁寧に味付けされていて、その土地ならではの味を堪能することができました。
 爽やかな風と水の流れる音がとても心地よく感じられ、エメラルドグリーンの川もすぐ近くに見ることができ、とても癒されました。

 それだけで満足でしたが、せっかくなので近くの不動滝にも立ち寄りました。
 より一層、透き通った淡い水色の滝に虹もかかっていて、また違う美しさがありました。
 ほどよく体を動かしながら、いくつかの吊り橋を渡って、楽しく散策することができました。紅葉の時期にも訪れてみたいなと思える場所でした。

 これから夏にかけて、川床で涼しく、癒しの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

国のお墨付き「ブラック」企業増えそうです

 5月10日より、厚生労働省が労働法に違反した企業のホームページ公開を始めました。
昨年から社名公表制度はあったのですが、労働法違反送検後の公表なので、是正勧告の1%ほどでした。

 今回の公表基準は「社会的に影響力の大きい企業で違法な長時間労働が相当数の労働者に認められ、一定期間内に複数の事業場で繰り返されていること。」とされており、悪質な違反があれば、送検前にも社名公表がされることになります。

以前、大手飲食チェーンが民間選出のブラック企業大賞授賞した際、翌年の新卒採用は計画の半分以下に、創業以来初赤字に転落、とかなりの企業ダメージを受けています。
ノミネートされるだけでも不名誉ですが、大賞の他にブラックバイト賞、業界賞など色々ありますので授賞理由、ノミネート理由などを知るのも大変勉強になります。

民間選出のダメージも相当ですから、国のブラック認定となるとさらに影響は大きいと想定されます。
 今のところ、送検前の公表については中小企業は除外されていますが、罰金、送検後の社名公表は従来通りです。
 中小企業では社会的制裁よりも、対応に追われたり、従業員から過去の残業代請求があると深刻に困る会社も多いのでは、と思います。
 採用難のご時勢ですので離職されても困りますし、他人事ではありません。

働き方改革・健康経営に意欲的な企業には認定・表彰などインセンティブが検討される一方で、そうでない企業に対しては、社会的制裁が厳しくなっています。

 会社側も採用難で残業が思うように減らせない企業も多いと思います。
効率的な設備の導入や、業務の効率化の見直しにも助成金がありますので、前向きに検討できるといいと思います。

「初対面でのやり取り」

4月から月に1日、支部の指定税理士として業務をしております。
 指定税理士とは、税理士会が税務支援の一環として設ける税務相談所において、来所された小規模納税者の方の記帳・税務指導を行う専任の税理士のことを言います。
 所属支部では、私を含め4人の税理士が各担当日ごとに納税者の方の相談を受けています。
 
 相談内容は、単純な記帳方法に関することから難解な税務の質問まで様々ですが、どんな質問にも慎重に回答するよう心掛けています。
 当然ながらこのことは日常業務でも同様に求められます。
 ただ、相談所に来所される方は初対面で、事業内容や家族構成などの基礎情報を何も知りません。
 また、性格も分からないため、細かい回答を求めているのか、それとも大枠を掴めれば良いのか等の判断も容易ではありません。
 そのため、相談者の方の情報を多く掴み、適切な回答をするよう細心の注意を払っています。

 さらに、一般的な見解での回答という条件で、電話相談にて質問に答える場合もあります。
 電話での相談となると、より回答が難しいうえ、相談者の方の私への印象は声や話し方だけで決まってしまいます。
 適切な回答をすることはもちろん、声のトーンやテンポにも注意が必要となります。

 指定税理士の業務を始めて、初対面でのやり取りはやはり難しいと実感しました。
 初対面であるが故に、回答の仕方や接し方により、その方が持つ私への印象は良い方向にも悪い方向にも大きく傾きます。
 良い印象を持ってもらうためには、適切な回答と正しい接し方が共に必要です。
 これからの指定税理士での業務を通じて、初対面の方とのコミュニケーション能力を高めていきたいです。