生活費と贈与

贈与税についての問題です。
以下の場合に、税金はかかるでしょうか。
①親が収入のない40歳の子供に生活費を毎月30万円渡している。
②私立大学の医学部の学費として、親が毎年1,000万円払っている。
③結婚祝いで、50人の方から200万円もらった。

上記の事例は個人間のお金のやり取りの話で、税金の世界では贈与税がかかるかどうかの判断になります。
答えは、全ての問題について、原則として贈与税の対象とはなりません。
贈与税には元々1人当たり年110万円の非課税枠がありますが、上記のケースではその110万円の中にも入ってきません。
というのも、贈与税にはその課税対象とならないものがあるためです。

そのなかで誰もが関係する例としては、以下の2つがあります。
・扶養義務者間で通常必要な生活費や教育費を贈与した場合
・お祝い金や香典等で社交上の必要性があり、通常の金額である場合
「通常」という表現になっており、金額の基準は明示されていませんが、基本的に常識的な範囲内であれば問題ないということでしょう。
ただし、使い切らずにお金が残ってしまうとその部分は贈与税の対象となりますのでその点はご注意下さい。

昨年の12月に国税庁から『扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」や「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A』が発表されました。
特に改正があったわけではありませんが、おそらく間違いが多いので、来年以降の相続税の増税を前に正しく理解してもらいたいという意図が感じられます。
ちなみに相続税の調査では、必ずといっていいほど亡くなった方の生活費がどれくらいであったか聞かれますので、今のうちに生活費がいくらなのかを再確認していただくとよいかと思います。

「それぞれのライフスタイル」

昨年晩秋に、オーストラリアへ行く機会があった。
何ヵ所か周ったのだが、シドニーであるツアーに参加したとき、現地ツアーガイドの人が話していたことが印象的だった。

シドニーでのライフスタイル(サラリーマン)の話だった。
(ただし、全てのサラリーマンに当てはまるものではないと思う)
・大方のサラリーマンは9時~10時に出社する。
・昼の時間帯12時~13時頃は、各個人の趣味の時間のようになっていて、ジョギングする人などもいる。
・ジョギングした人などは13時から30分ほどシャワーを浴びたりして、13時半頃からランチに出かける。
・13時半から15時までランチをし、大体17時に仕事を終える。
・17時に仕事を終えた後は、19時ぐらいまで同僚とパブやカフェでお酒を2~3杯飲んで帰る。
・21時ぐらいにはほとんどの店が閉店し、日本のように居酒屋で終電まで飲むという光景はほとんどない。

実際に町を歩いてみると、17時半ぐらいにはスーツに身を包んだサラリーマンと思われる人達が、そこらのパブやカフェでお酒を飲んで談笑している姿を、至る所で見ることができた。

オーストラリアの人は1日何時間働いているのだろう。5時間…?
物価は安くはないのでそれだけ効率的に働いているということだろうか。
日本人はよく働くと言われているが、それは時間的な観点からなのかもしれない。監査法人勤務時代に様々な企業を見てきたが、残業などで長い時間会社にいた人が評価される傾向にあったことも一因なのかもしれない。

働く時は働く、自分の趣味や家族との時間を過ごすための時間も作る。これが、自分の人生を楽しくできるのではないか。オーストラリアへ行って感じた。
どこまで実践できるかわからないが、まずは多趣味になることを目指そうと思う。

フクロウカフェ

先日大阪市内にあるフクロウ専門カフェに行ってきました。そのカフェは、ドリンクを注文することで店内にいるフクロウと自由に触れ合えるというもので、開店前から行列ができるほどの人気店でした。
このような「カフェ+α」という形態のカフェは、名古屋市内でも見掛けることがありますが、最近は、全国でフクロウカフェの出店が相次いでいるそうです。フクロウカフェの人気は、フクロウ自体の物珍しさもあると思いますが、それだけの理由ではないようです。そこで、フクロウカフェが人気となる理由について考えてみました。

まず、日本人のフクロウに対するイメージの良さが挙げられます。フクロウは日本では昔から福朗・不苦労とも書き、夜行性で夜目が効くことから夜も働き、世間に明るい、また、フクロウの首は180度以上回るので、お金の工面で「首が回らない」ことの反対で縁起ものとして受け入れられています。また、その風貌から癒しの対象ともなっています。このようにフクロウは、縁起物・癒しの対象として日本人に受け入れられやすい動物であるといえます。

また、実際の触れ合い易さも人気の理由であると思われます。カフェにいるフクロウは人慣れしており、おとなしく、安心して触れ合うことができます。

それに加えて、珍しい動物と手ごろな値段(600~1,000円)で触れ合うことができることも挙げられるでしょう。

このように、フクロウカフェが受け入れられる理由は様々あると思いますが、フクロウカフェは未だ歴史が浅く、物珍しさで来店する方も多いと思います。ですから、世の中に受け入れられ、ビジネスとして定着していくかは、経営者の営業努力によるところが大きいかと思います。ですが、「癒し」がブームではなく、一つのビジネスジャンルとして受け入れられている現在では、今後も一定の需要は見込まれるのではないかと思いました。

「モラルの共有」

飲食店アルバイトが仕事中に悪ふざけしている写真をSNSに投稿したニュースは記憶に新しいと思います。
例えば仕事中に悪ふざけているAさん、Aさんを写真にとりツイッターなどSNSに公開したBさんはどちらが法的責任が重いと思いますか?

Aさん、Bさんは共に仕事中にちゃんと働いていない(労働義務違反)のですが、会社の名誉を害し、社会的評価を低下させた(誠実義務違反・業務妨害行為)のはBさんなので、Bさんの方が「悪質」とされ厳しい処分を受けることになります。
実務上は、Bさん懲戒解雇、Aさんは初犯なら普通解雇、常習犯あれば懲戒解雇も可能との処分になるようです。
気分的(?)にはAさんの方が悪い・・・とも思えるのですが法的には「悪ふざけ」は遅刻などの勤怠不良や成績不良などと同等とされ、懲戒解雇に至るには少し段階があると考えられるからです。

本人を罰しても、会社のイメージダウンにより売上減少など悪影響は避けられません。従業員である一個人に損害賠償請求するのはなかなか難しい話です。
 そもそも売上ダウンによる損失額の算定が難しく、アルバイトとはいえ従業員教育、人事管理など会社側の問題も厳しく追求されることになります。

従業員による不適切行為や過失による情報データの紛失、流出トラブルも急増しているため、後追いですが企業での対策が進んでいます。
損害に備え正社員だけでなく身元保証をとる範囲をアルバイトにも拡大する。ハード面ではネットワーク及び利用規定の整備、アクセスや使用パソコンの制限など。 ソフト面では従業員に対するモラル研修などが挙げられます。
「モラル」とは社会人として常識の範囲で・・・と思っていても個々人ではズレがあるので、会社の実情に合わせ、共有することはとても意義のあることです。
 ハード面は時間もお金もかかりますが、心理ソフト面での啓発はすぐにでもできるので、朝礼や会議などで定期的にモラルが共有できているか?の確認をすることは大切ですね。
 

「伊勢詣り」

 初詣は、すでに地元の神社で元旦に済ませていますが、先日伊勢神宮にお詣りに行ってきました。

 実は、昨年伊勢神宮をお詣りした際に、案内役をされていた地元のボランティアの方から、「まず夫婦岩で有名な、『二見ヶ浦』で身を清め、それから『外宮』、『内宮』の順番に回るのが正式な参拝です。」と教えていただいたので、今回はその通りにお詣りしてきました。

 二見ヶ浦まではタクシーを使ったのですが、その車内でも運転手さんが、「二見ヶ浦から回るなんて、よく知ってるね。地元の人は、お詣りというと必ず、その順番にまわるんだよ。」と話しておられたので、間違いないなと確信しました。

 予想通り、式年遷宮で例年以上に賑わっており、正殿のお詣りをするのに40分以上もかかりましたが、きれいになったばかりの社殿を前に、清々しい気持ちになりました。

 参道もきれいに整備され、自動販売機に木目調の枠をはめるなど、景観を損なわない工夫もされており、歩いているだけでも楽しい気分になります。町の人みんながひとつになってお祝いしている様子が伝わってきました。

 ちなみに、伊勢神宮の式年遷宮で役目を終えた社殿の古材は、各地の神社で再利用されるのですが、わたしの地元の神社も、その恩恵を受けています。現在の社殿は、前回の遷宮から2年後に、内宮の西宝殿から移築されたものです。そして今回も、伊勢神宮の式年遷宮が終わるのを待って、準備をすすめています。

今回の伊勢詣りは、いつもとは違った気持ちで参拝できました。

北欧のやきもの展

 先日、愛知陶磁美術館を訪れました。愛知陶磁美術館では現在、1950~1970年代の北欧のやきもの展が開催されています。
 当時の北欧の陶磁器メーカーは、芸術作品を生み出す工房と量産タイプの製品を生産するラインを有していて、これらが同じ創造の現場から生まれていました。

 色々な作品を見て、植物や自然を感じさせるものが多かったように思いました。最初に登場したアクセル・サルトの作品は、途中から果物や植物をそのまま器にしたような作品で、私の北欧陶芸のイメージにはなかった独特な造形美でした。そして今回惹かれたのは、ろくろ職人ベルント・フリーベリの作品でした。自然なフォルムや北欧の大地を思わせるソフトな色合い、素朴で悠然とした雰囲気で、繊細で洗練されている印象です。北欧らしさが詰まっていたので魅了されたのだと思いました。

 他にも私の好きなスティグ・リンドベリやリサ・ラーソンの作品を見ることができました。後者の作品は、形や動きがシンプルな暖かみのある動物などの作品で、楽天的な作家の性格が表れているかのようです。以前雑誌で読んだのですが、いつも時間がなくて何かが足りない気がして、一度も完成したと思ったことがないそうです。だからアイデアに困ることもないし、飽きないで続けられるんだとか。芸術家の気質として、妥協しないというのはよくある話ですが、こういう満足しないというのもあるのだと思いました。それも含めてなかなか真似できない才能だと感じます。

 日本でも柳宗理などが、北欧の陶芸家やデザイナーたちと様々な交流を持ち、造形や思想に影響を受けています。私は柳宗理のキッチンウェアを日常に取り入れていますが、たまに美術館などを訪れて、心打たれた作品についてその理由を探ってみたり、作家の人柄や考えが作品に表れていることを感じてみてはいかがでしょうか。その過程で色々な発見が楽しめると思います。

「新たな方法にチャレンジする」

年明けから、税理士試験最後の科目の取得のため、専門学校の講座を受講し始めました。
受講スタイルとして、今までは直接学校へ通い講義を受ける「通学講座」で取り組んでいましたが、今回初めてパソコンやスマートフォンを通じて好きな時間に講義を受ける「web通信講座」で取り組むことにしました。

通信講座へ変更した理由として、
・移動時間が不要であること
・通信講座は通学講座とは違い、休憩時間等が含まれていないため講義時間が圧縮されていること
・場所・時間を選ばす講義を受けることができること
などのメリットがあり、今までの習慣を変えることに不安もありましたが、勉強する上で今の自分の生活スタイルにより合っているのではないかと思ったからです。
実際に、受講し始めて1ヶ月ほどが経ちますが、まだ多少慣れない部分もあるため試行錯誤しながらも、勉強を比較的順調に進めることができています。

ただしその反面、通学とは異なり決まった時間に受講する必要がないため、ダラダラしてしまう可能性があること等のデメリットももちろんあります。
そのため、自分自身を強く管理して予定を立てて行動に移していくことがより一層大切となってくるように思います。

自分の中で慣れ親しんだ事を変えるということはゼロからのスタートととも言え、最初は抵抗を感じてしまいます。ただ、そこで試行錯誤することにより新たな発見があり、自分自身を成長させられることも多いと思います。
試験勉強に限らず、これからは自分の置かれている現状とやるべきことを照らし合わせて、改善すべきことはないか・もっと良い違う方法はないか、ということを意識していくようにしたいです。

「お世話になりました」

 石田会計に入所してもうすぐ5年が経とうとしています。
 お客様には大変お世話になりましたが、この度、三月末をもって退職することとなりました。

 私にとっては会計業界歴イコールほぼ石田会計での日々と言えます。
 振り返れば当初は至らぬ点が多かったかと思いますが、月日が経つにつれ、お客様との距離が近くなったと感じることが増えてきたことは、この仕事をする上で私にとっての1番の喜びでした。

 中学生の頃から手に職をつけたい、という気持ちがありました。昔からいつも憧れる職業は、医師、通訳、など特定の技術をもったプロ、というものでした。(当時は税理士という仕事を知りませんでした。)
 ただなかなか憧れるとおりに人生が進むわけではなく、社会人になってから、改めて自分のこれからについて悩んでいた際に知ったのが税理士という仕事でした。税金という分野のプロであり、“税務代理”という独占業務が認められていることによって、お客様に寄り添うような近い立場でプロフェッショナルな仕事ができるとしたら、それはとても魅力的に思えました。自分のすることにプライドを持って、女性でも長く働ける仕事をしたい、とも常々思っていた自分にとって、「これは!」と思えるものでした。

 実際に会計業界で働き始めてみて、勉強と実務の世界は違うことに戸惑う面はありましたが、職種として、税理士としてのやりがいを実感して選択は間違いではなかったと思いました。
 石田会計を去ることにはなりましたが、お客様にとって、身近でよりよき相談相手になることを目指す気持ちを忘れず、これからもこの業界で頑張っていきます。

 楽しい思い出も苦労した思い出もありますが、この仕事を通じ、温かく接してくださったお客様のおかげで成長させていただいたと思っています。
 事務所の自由な社風により、プライベートも充実させることができ、マラソンにチャレンジしたときなど、お客様から応援をたくさん頂いたことは本当にいい思い出です。
 苦労したことはほとんど自分の未熟さが原因であるものですが、今後に生きる反省点として、またほろ苦い思い出として記憶に残っていくのだろうなと思います。一緒に、お世話になったお客様のこともきっといつまでも覚えていると思います。

 直接担当させていただきましたお客様については、特に感謝の気持ちでいっぱいです。
 大変お世話になり、本当にありがとうございました。

松浦

間違えやすい医療費控除例

 年が明けてしばらくすると確定申告の準備に入ります。
申告をご依頼される方の中には医療費控除を受けたいという人もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はご質問を受けることの多いものの中から間違いやすいパターンを紹介したいと思います。

控除を受けられる場合

・寝たきり人のおむつ代
 医師による「おむつ証明書」を添付することにより控除できます。

・医薬品のかぜ薬の購入費用
 治療、療養に必要で一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額は対象となるとされています。

・妊婦の定期健診
 原則医療費控除の対象です。産後の検診の費用も健康診断の対価にすぎないものを除き対象となります。

一方、控除対象外のもの

・人間ドック
 医療費控除の対象とはなりません。
 ただし、健康診断の結果、重大な疾病が発見され、引き続きその疾病の治療を行った場合には、
その健康診断は、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができますので、その健康診断のための費用も、医療費控除の対象に含まれます。

・未払いの医療費
 医療費控除の対象となる医療費の金額は、その年中に実際に支払った金額に限られており、
その年中に治療が終わっている場合であっても、未払となっている医療費は、その年の医療費控除の対象とはなりません

・差額ベッド代
自己の都合によりその個室を使用するなどの場合に支払う差額ベッド料については、医療費控除の対象となりません。

 上記の内容は国税庁のHPに質疑応答として掲載されているもので、他にも多くのパターンがあげられているので興味のある方はご覧下さい。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/01.htm