平成25年分の路線価が公開されました

 7月1日、国税庁より平成25年1月1日の路線価が公開されました。
 http://www.rosenka.nta.go.jp/

 全国約36万地点の標準宅地の増減率は平均で前年比1.8%減。5年連続で下落したものの、下落率は前年より1%縮小しています。宮城、愛知両県で上昇に転じたほか、残る45都道府県も下げ幅は縮小し、下げ止まり傾向が鮮明になりました。

 路線価とは贈与税や相続税を算出する為の指標です。
各道路に面する地域の1㎡あたりの土地の金額が地図上に示されており、路線価は公示価格の概ね80%の水準に設定されています。

 路線価が上がると当然土地の評価額が上がり相続税・贈与税も増額します。
この時期に、会計事務所では土地のおおよその評価を試算し、場合によっては相続税の節税対策の資料作成をします。
もちろん会社で土地を持っている場合は株価にも影響を及ぼしますので路線価は気になるところです。

 税制改革がなされ、相続税大増税と言われている中、早めの節税対策が必要となってきています。
路線価図は国税庁のHP上で誰でも簡単に閲覧できるようになっているので、この機会にお持ちの土地がいくらに評価されているのかご覧になるのも良いかもしれません。

 なお実際の不動産取引の相場を確認する場合は、国土交通省の以下のHPに
不動産取引価格情報検索のページがありますのでこちらも興味のある方はお使い下さい。
 http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet

「有意義な研修」

先日、税理士会主催の研修を受けてきました。 研修科目は争訟法。争訟法なんてなじみがなく、税理士に何の関係があるのだろうかと思っていたが、税務署長に対する異議申し立てや訴訟など課税処分を争うケースがあるから関係するということだ。

その争訟法の担当講師は、東京大学大学院の教授だった。結構有名な方のようだ。 前勤務先でも東京大学出身者と一緒に仕事をしたことがあるが、言うまでもなく賢いし頭の回転も速い。 争訟法自体にはそれほど興味はなかったが、東京大学大学院教授の講義を無料で聴ける機会なんてめったにないから、どんな話をするのか楽しみでもあった。 また、争訟法という専門性の高い法律を、税務以外の法律にはそれほど詳しくない人達に、どのようにわかりやすく伝えるのだろうかという事にも興味があった。

率直な感想は、わかりやすく有意義と感じられる講義だった。 法律に詳しくない受講者にもわかるように、平易な言葉で話されていた。また、受講者は税理士だから、過去の税務訴訟の例を用いるなど税理士の興味を引くような工夫もされていたし、眠くなるような時間や疲れてくるであろう時間に、雑談やエピソードを入れるなどの配慮もされていた。

人に教えるということは非常に難しい。そう感じているのは私だけではないだろう・・・。 専門的な用語は使わない、聞く人の立場を考えた興味を引くような具体例を織り交ぜるなど、人に教える時に留意することを再認識させられる講義だった。

中退共のお得な利用方法

近年では、退職金制度を廃止する企業が増えてきました。
終身雇用が減少し、転職が頻繁に行われるこのご時世では当然のことかもしれません。
ただ、税金や老後の生活を考えるとあまり得策ではないと感じます。

中小企業では、国が運営している「中小企業退職金共済(中退共)」という制度が有名ですが、既に加入している会社においても掛け金が1人当たり5,000円から1万円程度と少額で、積極的に利用されているケースはまれです。
しかし、退職金には社会保険がかからず、勤続1年あたり40万円以下であれば税金はかからないというように、かなり優遇されています。

例えば、退職金のない年収500万円の人が、年収のうち年間36万円を中退共の掛け金に振り替えるとどうなるでしょうか。
(計算上、社会保険は給与の15%とし、扶養者等はないものとします。)

退職前は税金等を差し引いた年間手取りは26万円減少します。しかし、退職時に36万円もらえるので、実質的な手取りは10万円増加していることになります。これが20年続くと、200万円手取りが増え、720万円の老後資金の積み立てができます。
また、毎年の給与が減少することで会社の社会保険料負担額が年間5万円削減できそうです。人数が多ければ、かなりのコストダウンになりますし、加入することで助成金を受け取ることも可能です。

このように、同じ支払額でも、支払方法次第で手取りが増え、また会社のコストを削減することができます。毎年、昇給の面談時にでも、人件費総額からどれだけ退職金に振り替えるか話し合いをされてはいかがでしょう。
「加入後1年未満で退職すると退職金はもらえない」等の注意点はありますが、このような取り組みにより、従業員の定着率が高まったり、リクルート活動にも有利に働くのではないかと思います。

by 加古宗利

「気持ちの方向転換」

サッカー日本代表のワールドカップ出場をかけた試合が、先日行なわれ、私も日頃はめったに見ることがないサッカーの試合をテレビで食い入るように見ました。

 にわかファンではありますが、世界と戦っている日本代表の姿は、詳しいルールまでは分からない私でも感動しました。

 

 ところで毎回問題になるのが、加熱したサポーターの非常識な行動です。今年は、渋谷のスクランブル交差点を通行規制して対応するという動きになったようです。

次の日のニュースで、このサポーターに対応した言葉巧みな警察官の方が「DJポリス」として取り上げられており、大変な話題となっていました。

 サポーターへの対応として、「お巡りさんも、こんな良き日に怒りたくありません。」とか、「チームワークで駅のほうへ進んでください。家に帰るまでが応援です。」などのマイクパフォーマンスを見せ、サポーターから「お巡りさん」コールが起きるなど、微笑ましい光景として取り上げられていました。

 

 興奮しているサポーターの言動を頭ごなしに規制するのではなく、同調したうえで、同じ日本代表を応援する者として、相手の気持ちを大事にした対応がとられていました。最終的には、サポーターを味方につけるまでになっており、その方法にとても感心しました。

 

 相手に何かしてもらいたいとき、その人が自分と同じ方向を向いているときは、そのままストレートに伝えればよいのですが、別の方向を向いている人には、方向転換をさせてからでないと上手く伝わりません。それも無理やりではなく、共有できるところを見付ければ、自ら方向を変えてくれるのかなと感じました。

 後日、警視総監賞を授与されたそうで、いろいろな意味ですばらしいなと思いました。

「サマータイム」

  毎年この時期になると日本でもサマータイムの導入について議論されています。
ご存知のとおり、サマータイムとは日が長い夏の間に時計を進めて、昼の時間を長くして、時間を有効利用しようというものです。
現在、約80カ国でサマータイムが導入されているようです。

  サマータイムの導入のメリットとしては、電力の節電、アフターファイブの経済効果、サマータイム対応ビジネスの展開などの新たな経済効果などがいわれています。 緯度が高い地域では、夏場は夜でも昼間のように明るいので時間を有意義に使える感覚が強いように思います。
  一方、デメリットとしては、全てのものの時間設定を変える労力の大きさ、健康への悪影響がいわれています。また、日本人の国民性である勤勉さが、明るい時間に帰るのにためらいが生じ、結果としてサービス残業が増加するのでは…なんてこともいわれています。

  日本でも1948年から1951年にサマータイムを導入しています。デメリットの面が影響し、評判が悪く廃止されました。実際、電力中央発電所と産業技術総合研究所で公表されているサマータイムの効果に関する試算によると、サマータイムについては電力需要に関してはあまり効果がないという結論のようです。

  日本でのサマータイムの導入には賛否があると思いますが、個人的には一時間早めることで就業後等のまとまった時間が増え、活動範囲が広がると思うので導入には賛成です。
実際、導入となると様々な壁があり難しいと思いますが、今後の動向を見守りたいと思います。

「ハロー効果」

 「ハロー効果」とは人事考課など、ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のことです。ちなみに「ハロー」とは、「後光が差す」と言う時の「後光」の意味です。

例えば、「高学歴の人は人格がすばらしい」、「英語ができる人は仕事ができる」、「○○だから良くない人」など思いこんでしまう心理効果です。
 人の評価は各々の観点ではなく、全体評価(目立つ特徴がプラスの場合は良い人、マイナスの場合は悪い人)で見ていることが多く、実験結果でもハロー効果は最も陥りやすい心理的傾向のようです。

 他にも下記のような人事考課者の陥りやすい心理的傾向があります。
・寛大化傾向・・・甘い評価になりがちなこと
部下を厳しく評価することに抵抗がある、他部署の社員より自分の部下の評価を上げたい、考課者としての自分に自信がない、考課基準があいまいな場合などに陥りやすい。

・中央化傾向・・・平均的に評価する傾向
優劣をつけることに抵抗があり、結果的に差が出ない。
上司が部下のことをよく理解していない場合、自分の考課に対して上位者に理由説明できない等、考課意義が理解できていない人が陥る傾向。

・論理誤差
例えば、社交的な人に営業力があると思い込むこと。
考課者が関係性があると思い込むと、関連するものの評価がいいと人事評価も良くなる傾向。

・自己類似性傾向
同じ学校の出身、同郷であるなど、自分と共通点・類似点がある部下を高く評価する傾向。

 評価が待遇に反映するものであれば、求められる公平性レベルは高いはずですが・・・人間は万能ではないので、評価はこのように不公平・非合理的である、と知ることも大切な勉強であると思いました。
考課項目を詳細にするなどの工夫以外にも、心理的な準備が必要ですね。

 

「相手の気持ちを汲んだ語りかけ」

先日清々しい気持ちになるニュースに出会いました。
サッカー日本代表がワールドカップの出場を決めた夜のことです。東京・渋谷駅前の雑踏警備にあたった警察官の誘導が、柔らかな語りかけでユーモアがあり、喝采を浴びて“DJポリス”と話題となっただけでなく、負傷者・逮捕者ゼロの功績で警視総監賞を受賞することになったという話でした。

私自身は混雑が予想される所に行くことは極力避けるタイプです。なので想像が及ばない部分がありますが、イベント終了後に皆が一斉に帰路に着く状況では、思い通りに動けずイライラもするでしょうし、盛り上がったままつい羽目を外してしまう人もいると思います。「赤信号みんなで渡れば怖くない」というブラックユーモア的な言葉があるように、集団の扱いは非常に難しい面があるのだと思います。

「歩道からはみ出さないで下さい!」「道を空けてください!」など、命令口調では、“したくてもできないんだ、せっかくいい気分なのにうるさいな”、と反発してしまうのが人というものかと思います。
「皆さんは12番目の選手です。チームワークをお願いします。駅の方へ進んで下さい。」
「目の前にいるお巡りさんも、皆さんが憎くて怖い顔をしているわけではありません。心の中ではW杯出場を喜んでいるのです。」
笑顔を誘う語りかけにはとても感心しました。スポーツ観戦によく行く友人にその話をしたら、「そういえば上手な人が時々いる。そういう時は和むんだよね。」、と言っていたので効果は大きいようです。

人の心に響く、琴線に触れることを心がけたオリジナルの言葉だったそうです。
大勢の人前で話す機会に限らず、相手の気持ちを汲んで語りかけることはとても大事なことだと思います。このような方が増えて欲しいと思うとともに、私自身も人とコミュニケーションをとる上で心がけたいと思える素敵なニュースでした。

by 松浦