「いつもと違う頭の使い方をした業務」

先日お客様の経営分析の仕事をさせていただきました。
小売業を営むそのお客様は従来、原価に加えて販売スタッフの人件費や交通費等、販売に直接かかるコストを見込んだ上で、上げるべき売上の最低ラインを決めていました。
ところが年月を経るうちに環境や会社の状況が変わり、その最低ラインの売上を上げていても、いざ月次決算を作成してみると予想していた利益とのずれが生じるようになってきているようでした。
そこで現状での目安となるコストを算定するよう、ご依頼があったのです。

月次決算は毎月私が作成しており、会社の大まかな概要は分かっていましたが、さらに詳細に請求書等を調べて分析しました。
その結果、見込んでいたものと金額が異なっていた項目や想定していなかった項目があり、また営業以外の間接部門のコストも会社の拡大と共に大きくなってきていることが改めて明確化しました。

次に、この結果をどうまとめればよいか考えました。
お客様がひと目見て分かり、その内容がご要望に合致し、役立てていただけるように。
省けるところは最大限省いて極力シンプルにしながら、お客様が知りたい情報は過不足なく表現できるように。
石田からアドバイスをもらいながら、お客様の気持ちを想像しつつ知恵を絞って1枚の紙にまとめました。

結果的に、お客様には喜んでいただくことができたようです。
決算書や申告書を作成する通常業務にもやりがいを感じますが、それとはまた異なるこのようないわば正解のない仕事は、想像力がかきたてられ、勉強になりました。
会計の知識はこのように役立てることもできると実感した業務でした。

「税理士からみた相続税」

 知人から紹介され、相続税の申告が必要な方がいるということで、相続税の申告を依頼され、現在、相続税の申告へ向けて作業を進めている案件がある。
 相続財産の評価の中でも、土地の評価は、簡単に評価できるものと、評価が難しいものの差が非常に大きいと感じている。

 当初の打ち合わせでは、土地が評価上の単位で6つ存在するということであり、物理的に時間を要する部分はあるものの、話を聞く限りでは、論点の数自体は多くないように感じていた。
 ただ、蓋を開けてみると、前面道路が狭くセットバックの検討が必要であったり、広大地などの検討も必要であったりと、土地によっては10種類程度の論点があり、さらには、当初教えていただいた土地以外にも被相続人の方が所有する土地が出てきたということも。

 相続の場合は、お客様にとって頻繁に発生するものではないので、どれくらいのコストがかかるか不安に感じておられる方も多いのではないかと思う。
 このため、できるだけ早い段階、おおまかに財産一覧を教えていただいたタイミングで、予想されるコストもお伝えするようにしていることと、相続後に相続税の支払いが発生するため、できるだけ良心的な価格を提示するように心がけていることもあり、当初の想定より時間・コストが超えてしまうことがある。
 お客様に納得していただいた上ではあるものの、追加のコストをお願いすることもあり、その場合には大変申し訳なく心苦しい次第です。
 相続の場合は、土地の評価の難しさや、後から財産が出てくる場合もあり、早い段階で時間やコストを予想することの難しさをあらためて感じた。

「企業評価から考える」

ここ5年ほどで人事関係の「お墨付き」認定の種類が増えました。
 国の認定では・・・
 旬な安全衛生優良「ホワイト企業」、株価が上がるといわれる「健康経営銘柄」、新卒獲得には女性活躍推進「えるぼし」、求人有利と言われている若者応援「ユースエール」認定など色々あります。

 民間の認定は、良いものから不名誉なものまで色々ありますが、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」というものがあります。
 「人(1従業員とその家族、2外注先・仕入先、3顧客、4地域社会、5株主の5者)を幸せにする経営」ができる会社を1社でも増やそうという趣旨で7年前に顕彰制度ができました。
  エントリー書類調査(過去5年以上にわたって、リストラや労災事故がない、障碍者雇用を満たす、黒字であるなどの要件)をパスするとヒアリング調査があり受賞企業が決まるようです。
 認定を受けること自体が目的ではありませんが、受賞会社の理念・取り組み事例は大変参考になるものばかりです。良い状態で止まることもないですし、受賞に至る試行錯誤の実例も含め勉強になります。
 
 世相を反映した評価指標の「認定」が増え、受賞により事例の公表になり、参考にする会社が増えることは好循環です。このような情報は通常、会社選択時に得られ難い「職業観」に大きな影響を与えることが可能です。
 
 国の勧める「働き方改革」の捉え方は個々・会社により様々ですが、時代に逆行?しそうな「時間も忘れるほど仕事に没頭」というスタイルも根強い支持があります。人生を考えると、このような時期がある方が幸せなんだと個人的には思います。
 
 個々が働き方・生き方をより主体的に考えるべき世の中になるので、「認定」はますます重視されると思っていますし、とても楽しみです。

「確定申告を迎えるにあたり」

 年末となり、確定申告の時期が近づいてきました。

 個人の申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間を区切りとして、翌年3月15日までに確定申告することになっています。
 譲渡や贈与をご検討されている方は、利益が出るのかどうかに加えて、この時期は今年中にしておいたほうが良いのか、年が明けてからのほうが良いのかなどの時期の問題もあります。
 いま一度、改めてご検討いただければと思います。

 ところで、個人の所得税の申告はそんなに難しいものではなく、所得の種類にもよりますが、税理士会で開催している無料相談を利用することで、その場で書き方を教えてもらい提出まで済ませることができます。
 またパソコンを使うことができる方でしたら、国税庁のホームページに「確定申告書等作成コーナー」があり、画面の指示に従って金額を入力することで申告書が作成できるようになっています。
 ぜひ一度、チャレンジしてみてください。

 一方で、ご商売をされており事業所得のある方、あるいは不動産や株式を譲渡された方などは、弊社に申告のご依頼をいただくこともあります。
 この時期だけお会いするお客様も多く、覚えていてご連絡いただけることに感謝しています。
 資料をご持参のうえ弊社にお越しいただきお話をさせていただく中で、「今年は他の土地も譲渡したので来年も来ますね。」と仰ってくださる方もいます。本当に嬉しい限りです。

 これから事務所として繁忙期となります。
 通常よりは少し対応が遅れることもあるかもしれませんが、ひとつひとつの仕事を丁寧に行っていきたいと思います。