「組織内会計士」

公認会計士の業界では、組織内会計士という言葉が注目されるようになってきている。
組織内会計士とは、企業(監査法人や税理士法人などを除く)で働いている公認会計士などのことである。

監査法人時代の同期や、先輩、後輩の中にも、上場企業などの経理部や経営企画部で働いている人がいる。
関西に行った時にたまに飲みに行ったりするのだが、IR室(投資家向け広報)に配属されて世界中を飛び回っている先輩など、充実した生活を送っている人が多く私も刺激をもらっている。

2013年に金融庁が行った調査(当時の東証に上場している企業約3300社の内、20%に相当する約900社程度が回答)では、回答があった上場会社の内20%で、「企業内に公認会計士が在籍している」ようだ。
20%というと、回答があった上場会社の内180社に公認会計士が在籍している計算になる。
私が監査法人に勤務し始めた頃は、公認会計士試験合格者で一般事業会社に入社する人は稀だったので、今はこんなに増えているのかと驚いた。

どんなことをしているのだろうかと募集理由を見てみると
・財務諸表を作成する部門のスタッフとして
・将来、経理部門の中核を担う人材として育成するため
・国際財務報告基準への対応を検討する部門のスタッフとして
・監査に対応するスタッフとして
・内部統制部門スタッフとして
など、順当な理由が並んでいた。

中小企業と公認会計士の接点は多くはなく、組織内会計士の需要は少ないかもしれない。
様々な上場会社を監査してきていること、会社の内部統制と言われる業務のフローについても評価しているので、業務の改善や効率化など中小企業のお役に立てることもあるのではと。相談などあれば些細なことでも聞いていただければと思います。

「時間管理」

3月は確定申告シーズンであり、会計事務所業界において最大の繁忙期と言われますが、今年も法人内で協力をし合い、当然の事ではありますが全てのお客様の申告を期限内に終えることができました。
やはり確定申告シーズンは通常時期と比べて業務量はかなり多いので、この時期を無事に終える事ができた充実感と共に、もう少し段取り良く業務を進めることができたのではないかという反省の気持ちも少なからず残りました。

このような時期こそスケジュール管理が重要であるため、スケジュールを細かく立ててはいたものの、自分の中でどの業務にどれだけの時間を要するのかという管理がまだ徹底できていないため、想定した時間と実際に掛かった時間に誤差が生じてしまい、スケジュールを組み直すことが少なからずありました。

仕事柄、調べごとなどをする時間も多いため、時間にこだわりすぎることが一概に良いとは言えないかもしれませんが、やはり単純作業や庶務等の時間は可能な範囲で短縮すべきであり、短縮できた時間を他の重要な業務に充てることで、より業務の質を高めることができると思います。

そのためにも、これからは自分の毎日の行動パターンを時系列などで出来る限り細かく把握し、①自分が日々どんな業務にどれだけ時間を使っているか、②もっと時間を短縮できる方法はないか、という点を常に意識し、繁忙期などにおいても気持ちにゆとりを持ちながらお客様の相談事に万全の状態で取り組めるように心掛けていきたいです。
また、確定申告は年に一度ですが、次回の確定申告時期に向けて、日頃から所得税法の知識の習得に励んでいきたいと思います。

「内製化と外注化」

 社内で行うか、外注化するかという経営問題については、どのように考えるのがよいのでしょう。
一般的には、社内でできない場合や、頼んだ方が安かったり早かったりといったメリットがある場合、外注化(アウトソーシング)して選択される企業が多いと思います。
 
 例えば配送業務を例として、出前ピザ屋とネットスーパーの場合で比較してみます。
出前ピザ屋の場合、注文から短時間で焼き立てピザを配達する業務は、対応が難しく外注コストが高くつくので、直接従業員が配送した方が得策といえるでしょう。
一方で、配達までの時間制限がそこまで厳しくないネットスーパーの場合には、外注を利用するケースが多いと思います。
社内で行う場合と比較して、配送コストが安くなったり、配送を外注することで販売という本業に集中できたりするからです。
 
 最近は外注化していた処理を、内製化する価値を見直す企業が増えているようです。
 内製化の一般的なメリットとして、スピード、技術の空洞化を避ける、コスト削減などが挙げられます。
 震災時によく耳にしましたが、最近はリスク管理の一環としても見直されています。
 
 外注化するかどうかに関する問題に関しては、経済学者ウィリアムソン教授が「企業の境界分析」という理論で2009年にノーベル経済学賞を受賞しています。
 社内で行う場合でも外注を利用する場合でも、社内・社外という違いはあるものの、同じ組織としても問題であるという整理の元に、理論的な考察を行ったことが認められたようです。

 そのような難しい話はよく分かりませんが、私共のお客様における会計業務や給与計算業務等についても、自社で行う業務と、私共にご依頼いただく部分のルールについては、いろいろなパターンがあります。
 現状のルールが、当初の想定からかけ離れている場合や、会社内外の経営環境に大きな変化があって見直ししたい場合などは、お気軽に担当者までご相談いただければと思います。業務の効率化や簡素化等の提案も含め、適切に対応いたしたく思います

「会社法の改正」

 今年の5月1日より会社法の改正施行が決定しました。
 
 そもそも「会社法」は、平成18年5月からスタートした新しい法律です。それまで会社の法律は、「商法」や「有限会社法」など様々な法律に分散していましたが、これが「会社法」として一本化されました。
このときの改正は主に中小企業を含む会社全般を対象として、経営の自由度の拡大を目的に行われたのが特徴です。例えば、有限会社の廃止や資本金1円会社の設立、1人取締役会社などは記憶に新しいと思います。
これにより、起業の幅も広がったのではないでしょうか。

 ところで、今回の改正は主として上場会社を対象とし、経営者に対する規律の重視に重点がおかれているようです。
そのうち、中小企業にも影響のありそうな点としては、「多重代表訴訟」が挙げられます。「多重代表訴訟」とは親会社の株主が、子会社の取締役・監査役などを訴えて損害賠償を請求できる制度です。持株会社(ホールディング・カンパニー)等のグループ経営が普及する中、親会社の子会社に対する監督が不十分などの理由により、子会社の不祥事や業績の悪化がグループ経営に悪影響を及ぼし、株式価値を毀損する事態が懸念されています。
そこで、このような事態から親会社の株主を保護するという観点から新設されました。
この制度が適用されるのは、100%親子会社のうち子会社株式の簿価が総資産の20%を超える重要な子会社のみに限られますが、中小企業でもこの条件が満たされる可能性がある場合には適用されます。

 会社法に限らず、法人税・所得税など様々な法律が毎年のように改正を加えられています。株式会社をめぐる最近の社会経済情勢を反映し、適宜改正が盛り込まれていく法律に、背景を理解しつつ対応していきたいと思います。