「株価評価方法の変更」

 税務署内部の文書(調査官が従うもの)である財産評価基本通達というものが、平成29年4月27日付で一部改正された。
財産評価基本通達は、基本的には相続税や贈与税の場面で準拠するもので、大きな会社であろうと小さな会社であろうと、上場していない会社の株価を算定するのは難しいので、株価の算定方法が定められているのだが、上場していない会社の株式評価に関して基準が変更された。

 中小企業の株価を算定する際には、特殊な企業を除いて、貸借対照表の純資産の価額を使用した方法と、類似業種の会社を比較した方法を併用して評価することになる。
 債務超過会社などを除き、一般的には純資産の価額を使用した方法のほうが株価が高くなるので、できるだけ類似業種の会社を比較した方法の割合を増やしたほうが、株価引き下げ効果が出るのである。
 今回、一部を除いて類似業種の会社を比較した方法を使えるハードルが下がったため、中小企業によっては株価を引き下げられる可能性がある。

 さらに、類似業種の会社を比較した方法の計算過程において、評価会社の利益金額の影響度合いが3/5から1/3に低下したため、それなりに利益を計上している会社は、同じ決算内容だったとしても株価を引き下げられる可能性がある。

 基本的には相続税や贈与税の場面で使用する評価通達なので、株価を低く抑えられたほうが税金は少なくて済む。
 過去から決算内容に変化がないにもかかわらず、株価が下がる場合もあることから、株主の異動をお考えの方は担当者までご相談いただければと思います。