「役員報酬の定期同額給与改正」

 平成29年度税制改正法が3月27日に参議院本会議で可決され、成立しました。
 改正項目の一つとして、役員報酬の定期同額給与についても見直しが行われました。

 役員報酬は毎月同額でなければ経費として認められず、金額の改定は基本的に事業年度開始から一定期間内に行う必要があります。
 役員報酬を増減させることによって、法人の所得を操作することを防ぐためです。

 今回の税制改正では、「毎月同額」の対象範囲が若干拡大されました。
 今までは給与の「額面」が同額でなければ経費になりませんでしたが、改正後は「手取額」が同額の場合でも、定期同額給与として経費計上が認められます。
 「手取額」というのは、額面から源泉所得税や住民税、社会保険料等を控除した後の金額です。
 例えば、6月から住民税が増加して手取額が減るような場合でも、その分額面を増やして手取額が今までと同じ金額になるように役員報酬を設定することができます。
 このような変更であれば、期中いつでも行うことが可能です。

 国内で手取額からグロスアップして給与計算をしているのは、外国人労働者が多いと思いますが、前年所得をベースに翌年課税される住民税が大幅に増加した場合、手取額を保証してもらいたい場合は、この新しい制度を利用しても良いと思います。

「サービスについて考える」

ヨーロッパでは比較的、労働者権利が経営者利益よりも重視される傾向が強く、仕事観のみならず法律にも色濃く反映されています。
 
 情報通信の発達によりオフィスに縛られない柔軟な働き方が可能になり、即時対応・業務効率化でサービス向上に役立っています。その反面、即時対応が当然、という感覚を持った人が増え、帰宅後・休日の対応を余儀なくされるといった悩ましい問題もあります。
 フランスでは勤務時間外はメールチェックしない「つながらない権利」が今年から施行されていますし、日本でも一部の企業が実施しているようです。
 ドイツには認められた時間帯以外は店を開けてはいけない、という「閉店法」があり、労働時間の規制と、余暇の時間確保に役立っています。
 
 日本では、今まで労働者権利より経営者利益の優先傾向がありましたが、人手不足を背景に大きく変化しています。
 
 ニュースでも大きくとりあげられていますが、大手宅配業界が人手不足を理由に、不採算顧客先への条件見直し交渉をすすめています。
 飲食業も長時間労働改善のため、24時間営業の廃止、営業時間の短縮を進める企業が増えています。
 
 今後は、サービスを見直す企業が増えるので、今までのありがたみや便利さを改めて感じる機会も増えると思いますし、逆に自分にとって無くても支障がない過剰なサービスに気付くこともあると思います。
 サービスを求めることによる相手の負担への配慮、自分にそのサービスは必要なのか?必要なサービスに対して相応の金額を支払っているか?を個人レベルでも考えるいい機会なのだと思っています。

「税理士を知ってもらうために」

どの業界にも同業者団体が存在しているように、我々税理士の業界にも名古屋青年税理士連盟(以下、名青税)という団体があります。
 この名青税は、基本的に40歳以下である有志の若手税理士によって構成され、会員相互の親睦を深めることや税理士制度・税法の研究などを目的として活動をしている団体です。

 昨年に税理士登録をしてからは一般部員としてこの名青税に所属をしていましたが、今年度は副部長として活動をすることになりました。
 私自身、名青税の中でもかなり年少であるため、副部長という立場は身の引き締まる思いですが、税理士業界の更なる発展のため団体活動に貢献していければと思います。

 また、名青税での活動は、税法の研究による自己研鑚などはもちろんですが、大学生などの若い世代に税理士という仕事を知ってもらう大きなチャンスであると思います。
 例えば、大学生向けの税理士職業セミナーやディベート大会という活動がありますし、税理士会においても租税教室といった活動があり、若い世代と交流する機会が多くあります。

 平均年齢が60代とも言われる税理士業界ですので、名青税の会員数も減少傾向にあります。
 名青税・税理士業界全体の活性化にとって、より多くの若い世代に税理士を目指してもらうことは必要不可欠であると思います。
 微力ではあるかもしれませんが、名青税でのこれらの活動を通して、若い世代に少しでも税理士という仕事に興味を持っていただけるようこれから努めていきたいです。

「ゼミ同窓生とのひととき」

 先日、大学のゼミの教授が定年で退官されるということで、お祝いの会に参加するため東京へ行ってきました。
 はじめの挨拶で先生は、「大学を出て就職すると、周囲は皆ライバルということになるので、友人は作りにくい。今日は私(教授)とは話さなくてもいいから、旧交を温める時間にしてほしい。」とおっしゃいました。

 私の世代は「就職氷河期世代」と言われ、就職活動には大変苦労した覚えがあります。
 特にバブル崩壊で痛手を負った金融機関への就職は厳しく、内定していた証券会社が大学卒業前に破綻、就職留年を余儀なくされた同級生もいました。
 就職後もリーマンショックが起きたり、金融再編成により合併が続いたりと、平坦な道のりではなく、新卒時の就職先と同じ名前の会社に今もいる人はごくわずかでした(同級生では製造業に就職した1人だけ)。
 同級生たちと話をしていると、どの人も年齢を重ねた分それぞれ苦労してきたのだろうなという感じがして、人間的に丸くなったなあという印象を持ちました。
 
 名古屋にいると同窓の方にお会いすることはあまりないので、出身大学を意識することはほとんどないのですが、先生の言われたとおり、旧友というのは良いものだなと改めて感じました。
 それから、それぞれのフィールドで活躍する皆にまた笑顔で会えるよう、自分なりに今与えられた役割を全うし、納得のできる生き方をしていきたいと思いました。

「定時株主総会の重要性」

 株主総会の話題を耳にする時期となりました。日本では、3月末日を決算日とする企業が大多数を占めているため、株主総会は6月下旬に集中しています。

 現行の法人税法では、法人は事業年度終了の日(決算日)の翌日から2ヶ月以内に申告書を提出しなければならないと決められたうえで、特例として特別の事情がある場合には税務署への申請に基づき提出期限を1ヶ月間延長することができるとされています。これは、決算から株主総会までの期間が短いと、企業と株主との対話が十分にできないということが背景にあります。
 この特例は、定款を変更されたうえで税務署へ届出をすることにより、中小企業にも適用されることはご存知でしょうか。

 決算後に開催される定時株主総会は、決算報告書の承認や役員報酬の決定、利益処分の方法など様々な重要事項を決定する場となっております。特に役員報酬額については、特別の事情がない限り、この時期に決定した金額が1年を通して支払われることになります。この先の利益を見通して報酬額を決定することは容易なことではないと思います。特に中小企業の場合は、企業と株主が同一ということが往々にしてあります。しかし、改めて株主という立場で企業や決算を眺めてみると、また見え方も違ってくるかもしれません。

 定時株主総会の重要性を再確認し、報酬の決定などお困りのことがございましたら、ご相談いただければと思います。