「確定申告を迎えるにあたり」

 年末となり、確定申告の時期が近づいてきました。

 個人の申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間を区切りとして、翌年3月15日までに確定申告することになっています。
 譲渡や贈与をご検討されている方は、利益が出るのかどうかに加えて、この時期は今年中にしておいたほうが良いのか、年が明けてからのほうが良いのかなどの時期の問題もあります。
 いま一度、改めてご検討いただければと思います。

 ところで、個人の所得税の申告はそんなに難しいものではなく、所得の種類にもよりますが、税理士会で開催している無料相談を利用することで、その場で書き方を教えてもらい提出まで済ませることができます。
 またパソコンを使うことができる方でしたら、国税庁のホームページに「確定申告書等作成コーナー」があり、画面の指示に従って金額を入力することで申告書が作成できるようになっています。
 ぜひ一度、チャレンジしてみてください。

 一方で、ご商売をされており事業所得のある方、あるいは不動産や株式を譲渡された方などは、弊社に申告のご依頼をいただくこともあります。
 この時期だけお会いするお客様も多く、覚えていてご連絡いただけることに感謝しています。
 資料をご持参のうえ弊社にお越しいただきお話をさせていただく中で、「今年は他の土地も譲渡したので来年も来ますね。」と仰ってくださる方もいます。本当に嬉しい限りです。

 これから事務所として繁忙期となります。
 通常よりは少し対応が遅れることもあるかもしれませんが、ひとつひとつの仕事を丁寧に行っていきたいと思います。

「あなたの予約がこどもたちの給食になる」

 『テーブルクロス』というアプリをご存知ですか?

 これは飲食店を検索・予約することができるアプリなのですが、主な特徴はこのアプリを通して予約すると、1名の予約につき途上国の子供1人分の給食が寄付される予約チャリティーアプリであることです。
 お客さんは無料でアプリを使えるので、金銭的な負担がなく社会貢献に参加できる、新しいチャリティー活動のカタチとして広まっているようです。

 数年前に現役大学生が作った仕組みで、お客さんが飲食店を予約すると、飲食店からテーブルクロスへ広告費が支払われます。次に、給食支援に必要な費用をテーブルクロスがNPOへ寄付します。そして、途上国のこどもたちへ給食が届けられるという流れです。
 飲食店側は初期費用や月額固定の掲載費用が無料の完全成功報酬型のビジネスモデルというのもウリのようです。予約が入ったら、1名につき180円を支払う仕組みなので、リスクなく集客をできるサービスです。この180円の中の一部が途上国の子供の給食として寄付されるので、飲食店にとっても社会貢献活動になるようです。

 私自身も、先日お店を予約してくれた人がこのアプリを利用していて、初めて知りました。
 自分が支援した給食数がエンジェルカウンターとして確認できたり、友人にアプリを紹介するとグループ単位での支援数なども見られるようになっています。
 登録されているお店は限られるのですが、少しでも社会貢献になっているようなら嬉しいなと思い、早速アプリをダウンロードしました。
 近いうちに、使ってみたいと思います。

「みなし役員」

従業員に支払う給与であれば、基本的には会社の経費になるのに対して、役員への給与は厳格な決まりがあります。
 会社が役員に対して支払う給与は①毎月定額を支払う「給与」②事前に税務署へ届け出ることにより臨時に支払うことができる「事前確定届出給与」③退職時に支払う「退職給与」などに該当するものを除き、原則として税務上の経費とすることができません。
 つまり、その人が「役員」に該当するかどうかにより、経費にできる給与の範囲が異なり、納税額にも大きく影響します。

 一般的に役員といえば、取締役・監査役・執行役など登記されている人のことをいいますが、法人税法ではもう少し範囲が広がり、「みなし役員」と呼ばれる人がいます。
 役員として登記されていない人でも、会長・顧問・相談役など実質的に法人の経営に従事している人や、使用人でも一定の株式数を所有して法人の経営に従事している人は、「みなし役員」として役員とみなされてしまいます。

 過去の裁決例や判例をみると、「法人の経営に従事している」というのは・・・事業運営上の重要事項に参画していること、つまり人事計画や資金計画、仕入販売などの経営方針に参画し、自己の意思表明をしているかが判断のポイントとなっているようです。
 明確な線引きがなく曖昧なところが、税務調査でも見解の相違として取り上げられることが多いように思います。

 登記上は役員でなくても、役員と同様の経営参画をされているような方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談いただければと思います。

「夏フェス」

 私の地元篠島では、ここ数年海の日に”夏フェス”を開催しており、今年は私も参加してきました。

 7月16・17日の2日間にわたり、20組を超えるアーティストを招いて盛大に行われました。
昼の部は、ゴルフ場跡地の広大な”芝生広場”に2つのステージを設け、ライブが開催され、屋台や移動式トラックでは、地元の食材を使ったB級グルメのお店がいくつも出店していました。
また、飲食店に限らず、ライブ会場からの音をバックミュージックに行う足つぼマッサージや整体、こどもが裸足で駆け回ったり、ダンボールで秘密基地作りをできるような”こどもひろば”も用意されていました。
さらに会場の外では、干物作り体験などの趣向を凝らしたイベントが開催されており、島全体を使って、音楽以外でも十分楽しんでもらえるような工夫がされていました。
またウミガメが産卵に来ることでも有名になった海水浴場には”ビーチ広場”を設け、ここではアマチュアのライブが誰でも無料で見られるようになっています。

 夜の部は、百個以上の砂で作った小さなかまくらの中にキャンドルを灯す”島かまくら”が点灯され、幻想的な光の中でのライブや、波の音をBGMに”ビーチヨガ”が開催されるなど、宿泊客にも十分に楽しんでもらえるような催しがありました。
特設の海の家では軽食が提供され、ビーチバーも夜遅くまで賑わっていたようです。

 今年で4回目になるイベントですが、有志の実行委員が主体となって盛り上げ、ボランティアを募って成り立っています。
現実的な話になりますが、採算割れしなければ来年も開催されるとのことですので、ぜひ期待して待ちたいと思います。
地元の人でも楽しいイベントでしたので、初めての方には十分楽しんでもらえると思います。機会がありましたら、ぜひ行ってみてください。

「海外口座保有者の方へ」

平成29年から、CRS (Common Reporting Standard :共通語報告基準)の導入によって、各国の非居住者が持つ金融口座情報が各国の税務当局間で自動的に交換されることとなりました。

これは、外国の金融機関に保有する口座を利用した国際的な租税回避を防止するために制定された制度です。
つまり、私たち日本の居住者が海外に持つ銀行等の口座残高や収入金額等の情報が日本の税務当局に提供されることになるのです。

このCRS には現在、日本を含む100以上の国と地域が参加しており、参加各国に所在する金融機関は、管理する金融口座から税務上の非居住者を特定し、その人の口座情報を自国の税務当局に報告する仕組みのようです。
そして、報告された情報は各国の税務当局間で相互に共有されます。
平成29年分からが対象とされていますが、ケイマン諸島やバミューダ諸島などのいわゆる”タックスヘイブン”と呼ばれる地域も含まれていることが大きな特徴です。

国内ではマイナンバー制度がスタートし、国外金融口座についてはCRS が導入されるなど、個人や会社の財産管理方法が制度化されつつあるようです。当初は煩わしさばかりが先行しますが、使い勝手の良いものになるといいなと思います。

「名義株とされないために」

 最近のニュースで、保有していた株式が名義株にあたるとして創業者長男が相続財産の申告漏れを指摘された事案はご存知でしょうか。
 追徴税額あわせて40億円にのぼるとして大きな話題になっていました。

 名義株については、金額の大小に関わらず、どの会社にも起き得る問題です。
 今回のように、創業者の相続の場合、相続財産の多くを自社株が占め、その自社株が創業者の財産なのか、創業者の相続人の財産なのかの事実認定が難しい場合があります。
 名義株とは相続人名義の株式であっても、実際の運用を行っていたのが被相続人であるとして、相続財産に加算されるものです。
 相続税調査の場面で指摘されるケースが多く、その時には被相続人が死亡しており実際の運用を行っていたのはどちらかという判断が難しいのが実情です。
 そこで名義株と指摘されないためには、取得時や保有時、配当時など、それぞれの場面で実際の所有者が相続人であると証明できるかがポイントとなります。

 相続財産を計画的に贈与していくことは重要なことですが、とりわけ自社株については被相続人だけの問題ではありません。
 その会社が末永く存続していくためにも、より計画的で慎重な対応が必要になると思われます。
 せっかくの贈与財産も渡し方を間違えると「名義株」として、なかったものとされてしまいます。
 のちのち疑いの目を向けられることのないように、名義人である本人が金銭の支払いや受け取りを行うのは勿論のこと、些細なことでも書面を残しておくなど慎重な対応が求められています。

「定時株主総会の重要性」

 株主総会の話題を耳にする時期となりました。日本では、3月末日を決算日とする企業が大多数を占めているため、株主総会は6月下旬に集中しています。

 現行の法人税法では、法人は事業年度終了の日(決算日)の翌日から2ヶ月以内に申告書を提出しなければならないと決められたうえで、特例として特別の事情がある場合には税務署への申請に基づき提出期限を1ヶ月間延長することができるとされています。これは、決算から株主総会までの期間が短いと、企業と株主との対話が十分にできないということが背景にあります。
 この特例は、定款を変更されたうえで税務署へ届出をすることにより、中小企業にも適用されることはご存知でしょうか。

 決算後に開催される定時株主総会は、決算報告書の承認や役員報酬の決定、利益処分の方法など様々な重要事項を決定する場となっております。特に役員報酬額については、特別の事情がない限り、この時期に決定した金額が1年を通して支払われることになります。この先の利益を見通して報酬額を決定することは容易なことではないと思います。特に中小企業の場合は、企業と株主が同一ということが往々にしてあります。しかし、改めて株主という立場で企業や決算を眺めてみると、また見え方も違ってくるかもしれません。

 定時株主総会の重要性を再確認し、報酬の決定などお困りのことがございましたら、ご相談いただければと思います。

「マイナンバー制度の普及と整備」

 マイナンバー制度の導入により、平成28年分以降の確定申告書の提出についてもいくつかの変更点が生じています。

 申告書の作成にあたり、お尋ねさせていただき、お手間をお掛けしていることと思いますが、税務署等に提出する申告書にご本人及び扶養家族のマイナンバー(個人番号)を記載するとともに、本人確認書類の提示または写しの添付(郵送提出の場合)が必要になりました。マイナンバーカードをお持ちでない方は、通知カードの他に免許証や保険証等の身元確認書類が必要となります。
 一方で、e-tax(電子申告)により申告書を提出する場合には、本人確認書類の提出は不要となっております。弊社のお客様の大半は電子申告による提出に同意いただいておりますが、作業効率及びスムーズな申告書提出のためにも、今後ともご理解ご協力をよろしくお願い致します。

 ちなみに、平成28年1月1日以降に提出する相続税申告書にも個人番号の記載が必要となりました。しかし、平成28年10月以降は様式を改訂し、被相続人(亡くなられた方)の個人番号の記載が不要となりました。これは、故人から相続開始後に個人番号の提供を受けることはできないことと、相続開始前に相続申告のためにあらかじめ個人番号を聞いておくことは親族間であっても抵抗がある等の理由によるものだそうです。改めて考えてみると納得の理由です。

 マイナンバー制度の普及と実務上の実態が伴うように、早急に整備されればいいなと思います。

「高層マンションの固定資産税改正」

 平成29年度の税制改正大綱において、「居住用超高層建物に係る課税の見直し」が公表されました。

 超高層建築物とは、建築基準法において、高さが60mを超える建築物のことです。そこで目安として20階以上のマンションを一般に「タワーマンション」と呼ぶようです。
 一般に高層マンションは高層階の部屋になるほど市場価額が高騰しますが、固定資産税はマンション一棟の固定資産税額を各戸の所有者の専有床面積に応じて按分することとされているため、高層階も低層階も、床面積が同じであれば固定資産税額は同額となります。
これを利用した節税策がいわゆる「タワマン節税」と呼ばれるものです。

 かねてより、このような取り扱いは不公平であるという指摘がなされていたことから、実際の取引価格を踏まえた課税を行うため、居住用超高層建築物に係る固定資産税計算方法が見直されます。
 具体的には中層階から上のフロアは1階上がるごとに約0.25%ずつ増税。
 逆に下のフロアは1階下がるごとに約0.25%ずつ減税となる見込みです。例えば40階のフロアは1階より10%(0.25%×40階)税率が高くなることになります。

 近年、国税庁も節税目的の取引への規制を厳しくする流れになっています。実際に2011年の国税不服審判所の採決ではマンションを買ったのは明らかに節税目的だとして、不当に低く評価された相続税を否認、購入価格で計算し直すという事例もありました。
 平成29年以降に引き渡す物件から改正対象となりますので、該当される方は担当者へ個別にご相談いただければと思います。

「新年の抱負」

 会社では日々、景気や情勢、あるいは自発的行動により様々なことが起こります。

 例えば、今年は例年になく売上が伸びているという嬉しいご報告を受け、節税対策が必要となる場合があります。そのような場合には、いくつかの方法をご提案しつつ、その会社の経営方針等に最も適したものを採用するようにしています。
 新しい分野に進出しようと検討されているお客様とは、どんなことができるかと一緒に未来を思い描いて意見を出し合いました。
 あるときは、近所に同業のお店が開店したため売上が落ち込んだと聞き、一緒に敵情視察に行ったこともあります。
 このように、お客様と一緒に考え、行動することは、私にとっても楽しく有意義な時間です。

 本年も、お客様と共に歩む一年としたいと思います。
 どんなことでも、一番にご相談いただけることに嬉しさを感じるとともに、責任をもって回答できるよう日々研鑽を積んで参りたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。