「60歳の差があっても」

 私には、91歳の非常に頑固な祖母がいます。
 背中は曲がり足腰も弱く、何かに捕まらないと一人で立ち上がることも歩くことも出来ません。
 しかしながら頭は冴えわたっているのか、次から次へと言葉が出てくる点は昔から全く変わりません。
 それも多くはトゲのある言葉です。

「コーヒーが飲みたい」
というので出してみると、お礼を言われるどころか
「なんや、コーヒーとはこれか。紅茶のがええな。」
という答えが返ってきますし、紅茶を出しても
「熱くて飲めん」もしくは「ぬるい、もう少し温めて」となります。
 そんな性格もあってか、積極的に関わりに行く人はそれ程多くありません。

 その中でも、私は鈍感なのか、冗談めかして「それなら自分で入れる?笑」などと言い返すキャラクターだからなのか、祖母のトゲのある言葉にそれ程抵抗がありません。
 そのため、盆や正月に親戚が集まるときの、立ち上がる際、歩く際の支えとなったり、何度聞いたか分からない戦時中の話を聞いたりするのは、自然と私の役割になっています。

 今は一人で生活できないこともあり、老人ホームでのケアを受けているのですが、先日親戚が自宅に集まった帰りに老人ホームへ送っていくと、「楽しかったなぁ、帰りたくないなぁ」とつぶやいていました。
 やはりトゲのある言葉も、人と関わっていたいという寂しさから出るものなのだと理解しました。
 
 人間関係には当然得手不得手はあると思いますが、本質的に相手を傷つけたい人はいないと思います。
 苦手意識があっても、相手との違いを受け入れる寛容さや、その発する言葉の意図を捕らえようとすれば、意外に相手を理解し、いい関係を築くことは可能なのかもしれません。

「求人トラブル増えています!」

従業員を募集する際、ハローワークや民間の求人広告・インターネットなどで募集すると思います。
求人難ということもありますが、多様なトラブルがハローワークだけでも昨年1万件以上あり、苦情受付件数なので苦情を言わずに早々に退職する人は何倍もいると想定されます。

 苦情のトップ3は下記の通りです。
No.1 給料 25%・・・賞与の無の場合あり、試用期間が低賃金の未記載運用など
No.2 労働時間 20%・・・年間休日の相違、土日出勤の強要、残業など
No.3 職種・業務内容 15%・・・事務員採用なのに営業職など

 原因はトップ3は下記の通りです。
No.1 求人票の内容が実際と違う 35%
No.2 求人会社の説明不足 25%
No.3 あいまいな口頭合意による認識相違 10%
原因を見てもわかるように、意図的な相違は良識問題ですが、採用側の知識・理解不足により意図せず不正確な記載でトラブルになる場合も多いようです。
 
 上記のようなトラブルにならないような対策は・・・
①仕事内容、募集人材像の具体的記載
・・・あいまいな記載は応募者の心に響きませんし、「詳細は面接にて」などは不親切とも受け取られてしまいます。
②労働条件が世間・業界水準で明確か
・・・①をクリアしても②の壁は同じ位高く、最もトラブルになりやすいので注意です。
③会社方針・理念など
・・・応募者の仕事観に共感できる社風かどうかは若い世代ほど重視しています。
 自社HPに誘導し、より会社を知っていただけると効果的です。

 採用に関しては、労働法を始め多くの法律が関係します。
 トラブル当事者のみならず、周囲の労働者への影響、ネット書込みでブラック企業のレッテル、労働局からのお呼び出しなど悪影響は計り知れません。

選び・選ばれる美しい採用ができるステキな会社でありたいですね。

「栗きんとんの食べ比べ」

 石田会計では秋頃に、退職者を含めた懇親会「OB会」を開くことが毎年の恒例行事となっています。
 今年もその時期が近づき、現在準備を進めています。

 今回はOBの方々へ栗きんとんをお土産にお持ち帰りいただこうという案が出ましたが、どこのお店のものにするか、なかなか決まりませんでした。
 そこで名古屋駅近辺で10店舗以上の栗きんとんを買い求め、業務の合い間にスタッフ全員で一口ずつ試食して決めることになりました。
 並べてみると大きさ、色や形にもバリエーションがあり、味もそれぞれ特色があって、色々な発見がありました。
 栗きんとん発祥の地である中津川のものは栗そのものを食べているかのようなシンプルな味。
 地元名古屋の店のものはリーズナブルなわりにしっかりと栗のおいしさが出ており、多くのスタッフに好評でした。
 その他にも、有名老舗和菓子店のものは品があり、上生菓子をいただいているような味わいでした。
 栗きんとんを同時に複数食べ比べるのは初めての経験で、皆であれこれ感想を言い合いながら試食するのは大変楽しいひとときでした。

 普段の業務では事務所スタッフが一同に会する機会は少ないので、今回のようなリラックスした中での交流のひと時は、とても貴重なことに感じられました。
 時には業務を離れてこのような時間を共有することも、スタッフ同士の距離を縮め、事務所への愛着を深めることができ、有意義だなと思いました。

「リーダーシップ理論」

先日参加したセミナーで、リーダーシップ理論について勉強しました。
たとえば突然リーダーになるようにと言われて戸惑っていたり、実はあまり気が進まなかったりする人もいるかもしれません。
そんな人たちのために、目指すべきリーダー像について経営学の知見から考えてみようというものでした。

 世界最先端のリーダーシップ研究で共通認識となりつつあるのが、以下の2つです。
①アメとムチをうまく使う”管理型”(トランザクティブ型)
②チームのやる気を引き出す”啓蒙型”(トランスフォーメーショナル型)
このうち、現在のような先行き不透明な時代や不確実性の高い事業環境下においては、いわゆる”啓蒙型”のリーダーが業績を高めることが分かっているようです。

 啓蒙型とは、仕事の方向性を示して、部下をケアしながらまとめていくリーダーのことです。
 ミッションを明確に掲げたり、常に新しい視点を持ち込むなどの興味をひく行動は不可欠ですが、前向きで楽観的なビジョンを打ち出すことにより、事業の将来性や魅力を分かりやすい言葉で伝えることにより、自然と部下の意欲を向上させるというものです。

 リーダーと聞くと、パワフルな統率力を発揮してメンバーをぐいぐい引っ張る、いわゆる男性的なイメージが期待されやすいのですが、実は物腰柔らかく、自己主張がさほど強くないほうが、これからの求められるリーダーシップスタイルなのかもしれません。
時代や環境によって、求められるリーダー像が異なる点は、大変興味深く感じました。

「テーマパークに行って感じたこと」

 先日、知人から割引券をもらったこともあって、久しぶりにナガシマスパーランドに行きました。園内はハロウィンの装飾が至る所で見られ、仮装して楽しんでいる人も多くいました。また、夕方からはゾンビが出現したりとアトラクション以外にも楽しめるイベントがたくさん企画されていました。

 USJに似た企画だなと、随分前にテレビで見たUSJがV字回復した戦略を思い出しました。今でも印象に残っているのは、数字に基づいた戦略と困ったら答えは現場にある、という考えです。

 まず、映画の枠を超えて子どもたちが喜ぶキャラクターを集めたファミリーエリアを充実させるという戦略は、客層をよく分析した結果、ファミリー層に極端に弱いという現状が把握できたことがきっかけでした。
 映画というコンセプトにこだわるあまりに、子どもには刺激が強すぎるアトラクションや身長制限があるものが多く、ファミリー層を十分に呼び込めていなかったのです。

 次に、限られた予算でお客さんにもっと喜んでもらえる付加価値がなかなか見付からず、何度も現場に足を運んだことが紹介されていました。
 行き詰ったら現場を歩く、仕事以外でもちゃんと入場料を払って家族でUSJに入り、お客さんの視点で考えることで、今までは前向きにしか走らなかったジェットコースターを後ろ向きに走らせるという発想にいたり、今では人気のアトラクションになっています。

 私も現場主義は大切にしたいと思っています。例えば製造現場を見れば、どのようなモノを製造し、その製品は何を使ってどのような過程を経て完成にいたっているのか、話を聞くよりもっと想像できます。また、資産をどのように会計処理しようか、いくら机上で考えて分からなくても、実際にモノを見ればすぐに判断できることもあります。これからも意識して取り組みたいと思いました。

「急な相続の依頼」

  先日、申告期限まで時間的猶予が少ない相続税の申告を終えた。
 お客様の関係者以外で、私が直接相続税の申告を引き受けるのは初めてだった。

 個人的には、お客様の関係者以外の相続税申告は、積極的に引き受けないほうが良いと考えていた。
 依頼人のお家のこれまでの過程や、財産の状況、家族の仲などの情報が全くない所からスタートするので、申告までに断続的に情報が出てきて、度々方針の転換をする必要が生じたり、何度も資料のやり取りをする必要が生じたりと、依頼人の方にも手間が余計にかかるなど、お互い良い結果にならない可能性があると考えていたからだ。

 今回、依頼人の方が相談に来られた時点で申告期限まで2ヶ月ほどしかなく、困っておられたこともあり引き受けることにした。
 姉妹間での公平な配分を第一に考えて欲しいとのことで、配分案から考えることになった。
 何度も足を運んでもらうのも申し訳ないと思い、想定される資料のリストを渡し、受け渡しが1回で済むように心がけた。
 また、家族の状況をヒアリングすると、2次相続も遠くない時期に起こる可能性があったため、今回の相続だけでなく2次相続まで合わせて相続税が低くなるような配分案を提案した。

 相続には様々なケースがあるので、何回も打ち合わせが必要なケースもあると思うが・・・署名書類や申告書控の受け渡しなど郵送でできることも、「取りに行ったほうが早い」ということで何回か来所されたが、それを除くと、資料の受け取り・方針の打ち合わせに1回、申告前の最終打ち合わせに1回の来所で済ませることができた。
 依頼人の方の手間はそれほどかからなかったのではないかということと、2次相続まで考えた配分案にもそれなりに満足していただけたようで、喜んで帰ってもらえたので私も満足感のある仕事だった。