「必要恐怖」

 新しい仕事、難解な仕事、答えに自信の無い仕事。
 そんな仕事前にはよく恐怖に包まれます。
 依頼者がいて、報酬を頂き、常に100点が期待されていますし、その結果が私に対する評価になるためです。
 
 石田会計に勤めて早2年が経過しました。

 それまで監査経験はあっても、税務の仕事は初めてでした。
 入社して間もない頃、代表石田は、
 「ちょっと難しいけど、どこまで仕上げられるかによって今後割り振る仕事を考えるよ。」
 という言葉と共に、厳しめの難度の仕事を私に任せました。

 そう言われてしまうと、適当な仕事ぶりで、今後容易な仕事しか振られないような情けない真似はしたくないという意地がありました。
 今思うと意地というより、評価に対する恐怖だったのだと思います。

 仕事で覚える恐怖を覚えた際の対処法は、以下の3つがあると私は考えています。
 ①逃げることで評価を上げず、自分のレベル以下の仕事を淡々とこなす
 ②出来る範囲の仕事を自分で、あとは知っている人に聞く
 ③徹底的に学び考え、知っている仕事に変える
 仕事観や目指す地点は人それぞれのため、どれが良い悪いはありません。
 ①、②も効率的で素晴らしい選択だと思います。
 ただ私は変なプライドが邪魔し、評価も下げたくないし人にも簡単に聞きたくないということで③を採るしかありません。 

 そのため、割り振られた仕事に関する書籍を購入し、必死に調べました。
 慣れた人がやれば瞬時に終わる仕事のために、夜遅くまで残ったこともありました。
 その後も、こなせばこなすほど難度の高い仕事を任され、常に新鮮な恐怖と戦っていました。
 その恐怖を乗り越えたとき、えもいわれぬ自信がいつも湧き上がっていました。
 成長には恐怖は付きもので、かつ必要なものだと感じるようになりました。

 そんな私ですが、12月に石田会計での業務に区切りをつけ、1月より独立し、また新たな恐怖と戦う決断をしました。
 これまで担当させて頂いたお客様、大変お世話になりました。
 丁寧な引継ぎや対応を随時行って参ります。
 また、2年という期間で、少なくとも独立しようと勘違いできるレベルにまで導いて頂いた石田会計の皆様、ありがとうございました。

「60歳の差があっても」

 私には、91歳の非常に頑固な祖母がいます。
 背中は曲がり足腰も弱く、何かに捕まらないと一人で立ち上がることも歩くことも出来ません。
 しかしながら頭は冴えわたっているのか、次から次へと言葉が出てくる点は昔から全く変わりません。
 それも多くはトゲのある言葉です。

「コーヒーが飲みたい」
というので出してみると、お礼を言われるどころか
「なんや、コーヒーとはこれか。紅茶のがええな。」
という答えが返ってきますし、紅茶を出しても
「熱くて飲めん」もしくは「ぬるい、もう少し温めて」となります。
 そんな性格もあってか、積極的に関わりに行く人はそれ程多くありません。

 その中でも、私は鈍感なのか、冗談めかして「それなら自分で入れる?笑」などと言い返すキャラクターだからなのか、祖母のトゲのある言葉にそれ程抵抗がありません。
 そのため、盆や正月に親戚が集まるときの、立ち上がる際、歩く際の支えとなったり、何度聞いたか分からない戦時中の話を聞いたりするのは、自然と私の役割になっています。

 今は一人で生活できないこともあり、老人ホームでのケアを受けているのですが、先日親戚が自宅に集まった帰りに老人ホームへ送っていくと、「楽しかったなぁ、帰りたくないなぁ」とつぶやいていました。
 やはりトゲのある言葉も、人と関わっていたいという寂しさから出るものなのだと理解しました。
 
 人間関係には当然得手不得手はあると思いますが、本質的に相手を傷つけたい人はいないと思います。
 苦手意識があっても、相手との違いを受け入れる寛容さや、その発する言葉の意図を捕らえようとすれば、意外に相手を理解し、いい関係を築くことは可能なのかもしれません。

「めんどくさがりの効用」

 何を隠そう、私はもの凄くめんどくさがり屋です。
すぐサボることを考えてしまいます。

 ただし、それはやるべきことをやらずに投げ出す意味ではありません。
なんとかうまいことサボって、楽に同じ価値の成果物を作れないか、と考えることです。

 例えば弥生会計の入力。
初めて弥生会計に触れたのは今から2年前、ちょうど当法人に勤めるようになってからでした。
その時、一つ一つの取引を記帳するにあたり、
「日付を入力し、勘定科目をリストダウンから選択、金額を入力して、摘要に文字を打ち込む。」
という原則的な方法をとっていました。
始めは、仕訳を入力することで試算表が出来上がっていく様が新鮮で楽しくできていたのですが、同じような取引ばかり入力するので、段々めんどくさくなってきました。

 すぐさまgoogleを開き「弥生会計 仕訳 コピー」と検索して、
「Ctrl+l」で仕訳コピー、「Ctrl+y」で仕訳貼り付けができることを知りました。
それを使うようになってから、同じような取引に対してリストダウンから勘定科目を選択する時間、摘要に文字を打ち込む時間は無くなりました。
他にも、
「勘定科目や補助科目を頭文字を打ち込むだけで呼び出す」
「定型仕訳を辞書登録し、複雑な振替伝票を一瞬で出す」
「alt+←or→でページ戻し、送り」等、
よく使いそうなショートカットキーを覚え効率化を模索しています。

 エクセル作業でも同じです。
セルや文字の色を変える、表を作る等のよく使う作業はショートカットキーを設定し、ボタン一つでできるようにしています。

 めんどくさいと思ったことはうまくサボる方法をこれからも考えていきたいですし、便利だと思うことは所内でも、またお客様に対しても還元していくことで効率化を目指し、より価値の高いサービスの提供に努めて参りたいと思います。

「そうでもないですよのゆとり」

「お忙しいですか?」
と聞かれれば、
「そうでもないですよ。」
と出来る限り答えるようにしています。

 会計事務所は時期によって繁忙感が異なります。
弊社では3月~5月決算の会社が他の月に比べると多い傾向にあるため、5月~7月までは法人決算の申告作業に追われていることが通常です。
その上、私はこの時期に2件相続税の申告を請け負っており、「全て無事に終えられるかな・・・」といった漠然とした不安がありました。

 ただ、この繁忙感は昨年も味わっているので、今年も同様の繁忙感を味わっていては残念ながら全く成長していないと言われても仕方がありません。
どこにどの程度の時間がかかるか、どう強弱をつけて作業を進めるべきか、はあらかじめ分かっています。
 そのため、作業する前にある程度日程と作業工程のシミュレーションをし、社内で手伝ってもらえる部分、自分でしか出来ない部分の色付けを行い、結果として最低限の残業で全て期限内に終えることができました。

「いや~7月まで多忙でして・・・」
 と言いつつこれまで通りの方法で時間をかけ、新しい業務に取り組まないことは非常に楽で、意識しないと流されてしまいそうになります。
 しかし、それでは今回のように相続税申告の経験値は積めなかったと思います。
 社内でも、担当者とは別に申告書チェックを行う役割がありますが、それについてもお願いされることはなかったでしょう。

 私が何かを依頼する側に立ったとしても、忙しいとバタバタしている人よりも、多少ゆとりある人に依頼したいと思うので、忙しかったとしてもゆとり感を出し、新しい業務に積極的に取り組む姿勢を今後も大切にしていきたいと思います。

『異文化とのお付き合い』

 イスラム圏の方との交流をこれまでそれほどしたことがありませんでした。
初めてイスラム文化と触れたのは、3年ほど前、旅行でトルコへ行ったときです。
学生時代の卒業旅行や、バックパッカーで欧州を訪れた際はキリスト圏ばかりでしたので、丸い屋根の礼拝堂と、数本の尖塔を備えたモスクが立ち並ぶ街に、新鮮かつ圧倒されたのを覚えています。

 先日、スリランカ出身の、イスラム教信者であるお客様から当法人のホームページを見てお問合せを頂きました。
名古屋で会社を設立したいが、何をすればよいか話を聞かせてほしい、とのことです。
まずはお話だけでも、と実際に事務所まで足を運んで頂き、2時間程度お時間を取って頂きました。
 ここでも非常に珍しいというか、初めて経験する出来事がありました。
 通常お客様と当法人会議室でお話させていただく際、お茶を提供させて頂いておりますが、そのお客様にお出ししたところ、「ラマダン中ですので結構です。」と丁寧な口ぶりで断られたのです。

 ラマダンについては『断食』程度の知識しかなかったため、調べてみると、
ラマダンとはイスラム歴の月のことであり、2016年は6月6日~7月5日であること。
1年のうちこの約1か月程度太陽が出ている時間の飲食を禁じる。
というものでした。
 日没後の飲食が認められていることは知りませんでしたし、また旅行者、妊婦、乳幼児等合理的な理由がある場合の日中の飲食が認められている柔軟性は面白く感じました。

 日本ではあまりイスラムの方と触れ合う機会が多くなく、イスラムに関する情報が乏しいですが、こうしたお客様との接点の中で、異文化の一部に触れることができ、知識を深めることが出来たので、貴重な体験となりました。

「社内セミナー講師」

 当法人では毎月、社員スタッフのみで行うスタッフ会議、及び法人従業員全体で行う月例会議、があります。
 スタッフ会議では、税制改正や実務における注意事項を展開、共有し、スタッフ間での知識レベルの維持向上に努めており、また月例会議では主に代表石田を中心とした全体的な事務所の方向性の統一や注意喚起が行われています。

 その月例会議にて、数ヶ月前からスタッフ持ち回りで、自由テーマで20分~30分の簡単な講義をする試みが始まりました。
 スタッフが外部でセミナー講師等をさせて頂く機会が少しずつ多くなり、その練習も兼ねてのものです。
 簡単な資料を用意し、ホワイトボードを使い、講義を行う。
 セミナーさながらです。
 今月は私が担当で、「金融機関の仕事と格付」をテーマに話をしました。
 昨年、愛知県内の大学にて外部講師として1コマ90分の授業をさせて頂きましたが、そのときは自分の経験を語るのみだったため、話す内容にそれほど困りませんでした。
 しかし今回テーマを専門的な分野に設定したため、ある程度自分なりに整理しておかないと時間も持たず中身の無い話になる恐れがありました。
 そのため、土日に地元の図書館へ出かけ、数冊の本からテーマに該当する部分を調べたり、要点をまとめたりしました。
 そのおかげもあり、何とか全うすることができました。

 元々前へ出たがりの性分もあってか、人前で話すことにそれほど抵抗はありませんが、論理的に秩序立てて話すのが苦手な所があります。
 話しながらその時思いついたことを付け加えてしまい横道に逸れてしまうこともあります。
 問題点をこのような機会に見直し、また話を聞きたいと思って頂ける様になりたいと思います。

「真田丸」

 お恥ずかしながら、今年の大河ドラマ「真田丸」が決まるまで、主人公である真田信繁(幸村)のことはおろか同時期に覇権を争った戦国武将の名前すらろくに言えませんでした。
 今回脚本が、ドラマ「古畑任三郎」や「新選組!」を手がけた三谷幸喜、主演が、「半沢直樹」で脚光を浴びた堺雅人と注目度が高かったので、第1話から観ることにしました。

 舞台は信濃。
北は上杉、南に徳川、東に北条、西に織田、豊臣と名だたる大名に囲まれた一豪族である真田家が、いかに動乱の時代を生き抜いたかを描くストーリーです。

 その中で特に私が注目したいのが、主人公の信繁の成長過程です。

 実は真田信繁自身、亡くなる直前の功績のみが語られることが多く、どのように若い時代を過ごしたのかはあまり表に出てこない人物のようです。
ドラマ内でも、当ブログ執筆時点でその3分の1程度終わったところですが、知略に優れた名将といわれる父、昌幸が主人公なのではないかと勘違いする程、まだそこまで焦点が当たっていません。

 しかしながら、父からただ世代が変わったというだけでは、歴史に名を残すほどの武将にはなれなかったでしょう。
恐らく頼れる父の影に隠れながらも、甘えることなく自分なりに必死に考え鍛錬し、成長していけたからこその最期があったのだと思います。

 法曹界に父を持つ私ですが、10年、20年後、会計業界にこの人アリ!と言われるような人物になれるよう日々研鑽しなければと、
主人公と自分とを照らし合わせつつも、大坂編に突入した信繁の成長をしばらく大河ドラマで注目していきたいと思います。

当税理士法人を選んだ理由

 担当させて頂いているお客様の平成27年分所得税の確定申告を無事終えられました。
 昨年は私が当法人での初年度ということもありなかなか苦戦した記憶がありますが、今回はお客様や、法人内での協力もあり、締切間近に焦ることなく余裕をもった申告作業を進めることができました。
ご協力ありがとうございました。

 今回の確定申告を終え強く感じたことがあります。
それは、当法人で、お客様に関わる多くの税目の申告に携わることが出来ており、それが自分の強みとして着実に身についている点です。
 大規模な税理士法人の内部の話を聞くことがあるのですが、例えば、法人税課、所得税課、資産税課等、各専門の課ごとに分けられており、法人税課の方は所得税や贈与税、相続税についてほとんど詳しくないことも多いそうです。
 その場合、もしかすると所得税に詳しくない法人税課の方に、法人税の節税アドバイスを求めたら、役員報酬を上げるべきと言われ、所得税が増えた結果、実質的に税負担が増えてしまった、というケースがあるかもしれません。
 これは極端な例ですが、一つの税目に特化しているだけでは、上記のような現象が起こりやすいと思います。

 その点、当法人では、私に限らず従業員全員が多数の税目の申告に携わっており、各税目間での関連性から最適な節税アドバイスが出来ますし、どの税目についても従業員間で相談しやすい環境にもあります。

 私自身が勤める側としても、改めて当法人を選択したことは間違っていなかったと思いますし、お客様とお話させて頂く際、あるいは会計士・税理士受験生と進路相談に乗る際にでも、規模や内部事情を知り意思決定する一つの判断材料になれば、と思います。

大御所芸人からの考察

 近年、Youtube等の動画再生サイトで簡単に個人が動画をアップすることができるようになっており、かなり古い動画も簡単に見られるようになっています。
 私もよくそういったサイトを利用するのですが、最近では特に、大御所と言われている、明石家さんま、ビートたけし、ダウンタウン、今はテレビからは退いていますが島田紳助等(敬称略)の芸人が若手時代どんなお笑いをやっていたのかに興味を持ち、20~30年前の古い番組を中心に視聴していました。

 そういった動画を見ていてかなり驚いたのですが、まだまだ初々しくテレビ慣れしていない感じだろうと思いきや、風貌こそ若いですが、今とほとんど芸風が変わっていないのです。
 それぞれ全く違った芸風だとは思いますが、デビューから年を追うごとに確立されていっているわけではなく、20代の当時から番組の回し方、司会の進め方、声の強弱、切り返しのうまさが際立っていました。
 そこで感じたのは、テレビに出て爪痕を残すために相当な準備をしてきているな、ということと、自分の得意な点、優れている点を知っており、徹底的に伸ばした結果、今の地位を築いたんだな、ということです。

 以前のブログで、苦手分野を無くしていきたいといった内容を書いたことがありますが、得意なことを把握し、そこを伸ばし切ることも自分の売り方としては大切なことであると強く感じました。
 仕事に臨む際に自分なりの爪痕を残すための準備をすることは今からでもできると思うので、それに加え、まず自分が他人に負けていない、得意だ、と思える点を見つめ直し、確立していければと思います。

「シンプルに考える」

 世の中には、「非常に難しく見えるが、分かってみるとたいしたことでは無かった。」ということは多くあると思います。
 以前、難解な問題を抱え頭を悩ませており、時間だけが刻々と経過していたとき、ある方にこう言われたことをいまだに覚えています。
 「複数の事象を同時に考えて問題を解決できるのは天才。天才じゃないのなら、問題を分解してシンプルな問いの集まりにして、ひとつひとつに答えを出し、それを積み上げることで解決を図るべき。」
 今でも、困難な事象に出会ったときは一度立ち止まり、こう考えるようにしています。

 先日、担当させて頂いている会社で、「海外支店を出したいのですが何か留意すべきことはありますか?」と聞かれました。考えられることは山のようにあるのですが、思いつくままに回答しただけでは留意すべき点に漏れも生じるでしょうし、体系化しないと効率的な解決にも繋がらないと思い、一度問題を分解、整理することに努めました。

 まず、ゴールは、海外支店の会計を、日本と同じ会計基準で取り込むこと。そのためには入出金情報と、決算時点の未収、未払等の情報を得ること。未収、未払の情報は決算前後に請求書等を送って頂くとして、入出金情報を得るためには現地で銀行口座の開設が必要であり、海外支店の口座開設に関して規制は無いか確認を要する。また、海外口座にはどんな入出金が考えられるか。出金の権限は誰に与えるのか、等。
 上記のように分解、整理していくと、各時点時点で留意するべき点が見えてきました。

 実際に業務を行ってはいない私が一人で留意点を全て挙げることも困難であるため、問題を分解、整理したことで会社の方とも円滑に相談ができ、非常に有意義だったと思います。

 一見複雑な事象に出会い物怖じする前に、一度シンプルに考えられないか立ち止まることを今後も心がけていきたいと思います。