「新年を迎えて」

時々ふと思うことがあった、仕事って・・・

人によって違いはあると思うが、1日8時間働いたとして、月におよそ160時間、年間1,920時間仕事をしている計算になる。
一方、プライベートの時間はというと、3大欲求の睡眠などを除いて平日は各2時間、土日(休日)は各8時間とすると、月におよそ120時間、年間1,440時間と仕事をしている時間のほうが長い計算だ。

日本人は欧米に比べて、仕事とプライベートの楽しみ方が下手だと良く耳にする。
プライベートは楽しく、仕事は楽しくないという状況だと、人生の半分ぐらいは楽しめていないといことなんだろうと。

今現在人生を楽しめていないことはないが、仕事を楽しめるレベルを上げることでもっと人生を楽しめると思う。
税理士法人の運営にも携わるようになって1年、運営も楽しみながら、プライベートも楽しく、人生の楽しめる度を昨年よりもレベルアップしたいと。
100人いたら100人全員が仕事を楽しんでいることはないかもしれないが、法人内でも楽しめる人が増えれば良いと思う。

「税務調査の話」

ここ1~2ヶ月で、法人税等の税務調査と相続税の税務調査の立会いをする機会があった。
税務調査を経験したことがない経営者の方にとっては、自身は何をしたら良いか想像が付かないのではないだろうか。

法人の税務調査を前提に話を進めると、税務署内で調査先と選定されると、税務代理権限証書を提出している場合には(通常は提出しているのだが)まず顧問税理士に連絡が入り、顧問税理士が社長などに連絡し日程調整をする。
調査対象の税目は、通常は直近3期間の法人税、消費税、源泉所得税となる。
それほど大きくない会社であれば、調査官が2名で2日ほどの調査となるだろうか。

通常は、初日に社長に対するヒアリングが行われ、
得意先のことや締め日、回収方法など売上・売掛金に関すること、
仕入先のことや締め日、支払方法など仕入・買掛金に関すること、
あとは在庫にどんなものがあるかなどが主に聞かれる内容だと思う。
初日の午後以降は、基本的に調査官は総勘定元帳や請求書などの証憑をチェックする時間になるケースが多い。

立ち会う税理士は何をするかというと、調査官から質問があればそれに答えるということが主な仕事になるので、体を動かすことは少ない。
ただ、質問などが何もない時でも、調査官が今どの資料を見て手が止まったかなどを観察して、質問されそうなことを予想して根拠や回答を考えたり、調査官の人柄や時と場合によって押すのが良いのか引くのが良いのかを考えたりと、頭の中では様々なことを考え結構疲れる作業をしている。
精神的疲労は普段の業務よりあるので、税理士の側からも税務調査がないに越したことはないのだが・・・税務調査が来るということになれば、誠意を持って対応をさせていただきます。

「東芝の不正会計」

9月7日に、東芝の2015年3月期決算が2ヶ月遅れで公表された。
当初1,200億円の黒字を見込んでいたようだが、378億円の赤字だった。

同時に過年度の決算修正も実施し、過去7年間の税引前損益を2,248億円も減額した。
監査法人で働いていたこともあって、東芝の不適切会計問題はかねてから気になっていた。

東芝は上場企業であり、上場企業は証券市場や利害関係者など影響が多岐にわたることから、公認会計士による監査を受ける必要がある。
もちろん東芝も大手監査法人による監査を受けていた。なのに、なぜ不正が起きたか。

東芝は、経営トップが主導して決算内容を操作したと言われている。これは、典型的な経営者不正と言われるものである。
監査人側からみると、経営者不正は一旦生じると発見に非常に時間がかかり、被害額も大きくなる傾向にある。
また経営者は企業の最高権力者であることから、その不正を社内で予防・発見することは極めて困難なのである。

監査法人が東芝に協力していたのか、監査法人が騙されていたのか、今のところ定かではない。
ただ、監査法人からすれば東芝から受け取る報酬は大きく、優良顧客であったと推測されることから、言うべきことが言えなかった可能性もある。

法定監査に従事する者として、報酬を受け取っている監査先に言うべきことを言う、ということに気を使うのはわかる。
経営者や監査役とのコミュニケーションは必要だろう、一度認めてしまうとどんどんエスカレートしてしまう。
税務とは違う世界で興味のある方は少ないかもしれないが、この不正会計問題をきっかけに、監査の現場で言うべきことを言う、ということの重要さを再認識させられた。

「広島球場から感じたもの」

昨年から恒例の行事のようになっているのだが、妻の親・兄弟とお盆休みにMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島で、プロ野球(広島東洋カープVS横浜DeNAベイスターズ)の試合を観戦してきた。

試合は双方得点が入り非常に盛り上がったのだが・・・それはさておき、非常に面白い球場だと感じた。
甲子園球場などいくつか球場で野球観戦をしたことがあるのだが、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島は、ファールゾーンが狭いおかげで選手との距離が近く、臨場感や迫力をより感じることができた。

新球場は2009年3月28日に完成したのだが、様々な工夫がなされている。
・グラウンドの開放感、通風、街との一体感を確保するため、北側のJR側へ大きく開く形態とし、球場の楽しさを新幹線などJR車窓からも感じ取ることができる
・1階観客席の最後部に、球場を一周できる幅が広く段差のないコンコースがある
・観客席は、大リーグ球場並みの横幅50cm、奥行き85cmを確保し、ゆったりと野球観戦することができる
・左右非対称なグラウンド形状と、砂かぶり席・寝ソベリア・ゲートブリッジなど多様な観客席がある
・ファールゾーンの縮小により観客は選手のプレーをより身近に見ることができる
などなど。

観客が楽しめるような、また居心地が良い工夫がされていると感じた。
現に新球場完成前の観客動員数は、90万人~140万人程度で推移していたのだが、新球場完成後は150万人~190万人程度に増えているのだ。

お客様の視点で考えることがどれだけ重要かということを改めて感じさせられた。
サービス業に従事する者として、お客様の視点で考えることを忘れずに精進したいと思う。

「観光に活路を」

ニュースなどで見聞きした人もいるだろう。
世界の人気観光地ランキングで、京都市が2年連続で1位となったと。

アメリカの有名旅行雑誌「Travel+Leisure」が発表したもので、読者投票を基に「風景」や「文化・芸術」、「レストラン・食べ物」など6項目で採点したものだそうだ。

ちなみにトップ5はというと。
1位:京都(日本)
2位:チャールストン(アメリカ)
3位:シェムリアップ(カンボジア)
4位:フィレンツェ(イタリア)
5位:ローマ(イタリア)

日本人&京都出身者としてはうれしいニュースだったと同時に、本当に1位なのかという疑問が残った。
日本への外国人観光客は、ヨーロッパや他のアジアの国々に比べれば少ないからだ。
日本政府観光局が発表している2013年の資料によると日本は1,036万人(27位)、一方トップのフランスが8,301万人、次いでアメリカ6,976万人、アジアでは中国5,568万人(4位)、タイ2,654万人(10位)となっている。
読者が選ぶランキングといったところだろう。全世界で投票したランキングがあれば知りたいが・・・

今後日本で市場が伸びる可能性があるのは、観光、医療、農業など限られた分野になるだろうから、京都だけでなく日本を訪れる外国人観光客が増えるのは良いことだと思う。
何かしらのお土産を購入するはずだから、メイドインジャパンの物を売るチャンスが増えるだろう。
日本の市場規模は限られている、また海外へ出て行くにもハードルが高い、しかし外国人観光客は海外から訪日してくれて物を買ってくれる。
日本旅行の際のお土産としての地位を確立できれば・・・

爪切り、お弁当箱、ハンコ、ガチャガチャ、柿の種など様々な物がお土産として購入されている。
既に取り組まれている企業もあると思うが、今取扱の商品を外国人観光客向けに一工夫したり、PRの方法を再考してみても良いのではないだろうか。

「異文化との出会い」

先日、名古屋市内にある愛知県芸術劇場でストラディバリウスのコンサートが開かれていたので、妻とともに聴いてきた。
私は、管弦楽器に関わったことは皆無に近いのだが、妻は昔チェロをかじったことがあり、オーケストラ好きということもあり誘われたのだ。

ストラディバリウスとは、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロなどの弦楽器で、ストラディバリという人物によって製作されたものである。
弦楽器の世界で名器と言われているもので、最低でも数千万円、良いものになると数億円というものもあるようだ。

その名器と言われるものを聴いてみた。
いきなり聴いて素人にわかるものではないと思うのだが、ヴァイオリン1台でもホールに響き渡り、透き通ったような音色だった。名器と名手の音色に聴き入ってしまった。

アンコールの演奏前のことだった。これから演奏する曲の説明を日本語で話し始めた。そして名古屋で演奏できたことの喜びも。
ぎこちない日本語で、聴衆への感謝の気持ちを伝える姿がどこか愛らしく、聴衆の笑いを誘い、その後大きな拍手に変わった。名手たちと聴衆の一体感がさらに高まった瞬間だった。
プロだと思った。
オーケストラにまた行くのも面白いと思っていたが、機会があればこの管弦楽団の演奏を聴きに行こうという気持ちにさせられた。

どんな仕事でも、経験や知識、能力が必要なのは間違いない。
相手が機械であれば必要ないが、相手が人間であれば、一瞬の行動・言動など何でもいいから、人をひきつける何かを持てれば1段上のプロと言えるのだろう。
オリジナルのプラスαを持てるように。貴重な体験だった。

「道の駅」

今のところは自家用車の必要性を感じていないこともあり、車を所有していないのだが、時々レンタカーで出かけることがある。
皆さんが車で出かけた時、高速道路だとサービスエリア、一般道路だと道の駅に立ち寄った経験があるのではないだろうか。
私も道の駅に立ち寄ることがあるのだが、その地方の農産物や珍しいものなどがあれば購入することがある。

道の駅は、2015年4月現在で1,059箇所が登録されている。
そもそも道の駅とは、24時間無料で利用できる駐車場・トイレ、道路や地域に関する情報を提供する施設、地域振興施設(レストラン、農産物直売所等)などを備えた施設のことである。

民間業者が地元の特産品などが買える商業施設として営業している、と思っている人も多いかもしれないが、市町村や第三セクターなどの公的な団体しか設置できない、公共事業の一つである。

数億円から数十億円かかる施設もあるのだが、これらには税金が使われている。
売上を何十億円も上げているような施設は、その地域にお金が落ち雇用を創出しているだろうから、成功していると言えるのだろう。
一方、休日でも閑散としている施設もある。公共的な性格を有する施設なので、売上を上げることが目的ではないと言われればそれまでだが。

私の生まれた京都北部は過疎が進む田舎で、地域の人々にとって雇用の創出は切実な願いである。
道の駅に人が集まれば、雇用の創出にも少なからず貢献するだろうから、道の駅に期待している人もいる。
国民から徴収した税金を投入しているのだから、設置して終わりではなく消費者がわざわざ行きたくなるような施設を運営して欲しい。地域活性化の一つとして役立てることができるのだから。

「組織内会計士」

公認会計士の業界では、組織内会計士という言葉が注目されるようになってきている。
組織内会計士とは、企業(監査法人や税理士法人などを除く)で働いている公認会計士などのことである。

監査法人時代の同期や、先輩、後輩の中にも、上場企業などの経理部や経営企画部で働いている人がいる。
関西に行った時にたまに飲みに行ったりするのだが、IR室(投資家向け広報)に配属されて世界中を飛び回っている先輩など、充実した生活を送っている人が多く私も刺激をもらっている。

2013年に金融庁が行った調査(当時の東証に上場している企業約3300社の内、20%に相当する約900社程度が回答)では、回答があった上場会社の内20%で、「企業内に公認会計士が在籍している」ようだ。
20%というと、回答があった上場会社の内180社に公認会計士が在籍している計算になる。
私が監査法人に勤務し始めた頃は、公認会計士試験合格者で一般事業会社に入社する人は稀だったので、今はこんなに増えているのかと驚いた。

どんなことをしているのだろうかと募集理由を見てみると
・財務諸表を作成する部門のスタッフとして
・将来、経理部門の中核を担う人材として育成するため
・国際財務報告基準への対応を検討する部門のスタッフとして
・監査に対応するスタッフとして
・内部統制部門スタッフとして
など、順当な理由が並んでいた。

中小企業と公認会計士の接点は多くはなく、組織内会計士の需要は少ないかもしれない。
様々な上場会社を監査してきていること、会社の内部統制と言われる業務のフローについても評価しているので、業務の改善や効率化など中小企業のお役に立てることもあるのではと。相談などあれば些細なことでも聞いていただければと思います。

「金融機関の決算書」

決算書というと皆さん見たことがあるだろう。
では、銀行等の金融機関の決算書はどうだろうか。

金融機関にももちろん決算書はあるのだが、一般事業会社とは様相が異なる。
一般事業会社の損益計算書を見てみると、
売上-売上原価=売上総利益(粗利益)
売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益
営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益
というのが一般的だろう。

金融機関の場合はどうかというと、
経常収益-経常費用=経常利益
と、いたってシンプルである。
経常収益には貸出金利息や手数料収入などの銀行業務の収益が計上される。
また、経常費用には預金利息や人件費、その他の経費などが計上される。

もうお気づきだと思うが、金融機関の損益計算書には一般的に粗利益と呼ばれる売上総利益、営業利益の区分がない。
ディスクロージャー誌を見たことがある方は知っておられると思うが、金融機関では売上総利益に相当する業務粗利益、営業利益に相当する業務純益と呼ばれる独自の指標を用いて管理している。

貸出金利息や手数料収入などの収入から、それらにかかる費用を差し引いたものが業務粗利益、
業務粗利益から人件費やその他の経費を差し引いたものが業務純益である。
金融機関は業務純益を計算することによって、金融機関が本来の業務活動によって得た利益を把握している。

業務純益という項目自体に法的な開示義務はないが、ホームページからディスクロージャー誌を閲覧すれば、多くの場合見ることができると思う。
取引している金融機関やこれから取引しようとしている金融機関が、どれくらい本業で利益を出しているのか、取引を始める際の参考にしてみるのも良いのではないだろうか。

新年の抱負

 12月号のニュースなどで既に御案内させていただいておりますが、2015年より石田会計事務所は税理士法人としてスタートすることになりました。
 私自身も社員(株式会社に置き換えると取締役)という立場でスタートさせていただくことになり、今まで以上に能力・知識を磨いていかなければならないと身の引き締まる思いです。
 税理士法人という法人形態になりましたが、お客様との付き合い方は今までどおり変わりありません。今後とも変わらぬお付き合いの程、よろしくお願い申し上げます。