「金融機関の決算書」

決算書というと皆さん見たことがあるだろう。
では、銀行等の金融機関の決算書はどうだろうか。

金融機関にももちろん決算書はあるのだが、一般事業会社とは様相が異なる。
一般事業会社の損益計算書を見てみると、
売上-売上原価=売上総利益(粗利益)
売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益
営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益
というのが一般的だろう。

金融機関の場合はどうかというと、
経常収益-経常費用=経常利益
と、いたってシンプルである。
経常収益には貸出金利息や手数料収入などの銀行業務の収益が計上される。
また、経常費用には預金利息や人件費、その他の経費などが計上される。

もうお気づきだと思うが、金融機関の損益計算書には一般的に粗利益と呼ばれる売上総利益、営業利益の区分がない。
ディスクロージャー誌を見たことがある方は知っておられると思うが、金融機関では売上総利益に相当する業務粗利益、営業利益に相当する業務純益と呼ばれる独自の指標を用いて管理している。

貸出金利息や手数料収入などの収入から、それらにかかる費用を差し引いたものが業務粗利益、
業務粗利益から人件費やその他の経費を差し引いたものが業務純益である。
金融機関は業務純益を計算することによって、金融機関が本来の業務活動によって得た利益を把握している。

業務純益という項目自体に法的な開示義務はないが、ホームページからディスクロージャー誌を閲覧すれば、多くの場合見ることができると思う。
取引している金融機関やこれから取引しようとしている金融機関が、どれくらい本業で利益を出しているのか、取引を始める際の参考にしてみるのも良いのではないだろうか。