中退共のお得な利用方法

近年では、退職金制度を廃止する企業が増えてきました。
終身雇用が減少し、転職が頻繁に行われるこのご時世では当然のことかもしれません。
ただ、税金や老後の生活を考えるとあまり得策ではないと感じます。

中小企業では、国が運営している「中小企業退職金共済(中退共)」という制度が有名ですが、既に加入している会社においても掛け金が1人当たり5,000円から1万円程度と少額で、積極的に利用されているケースはまれです。
しかし、退職金には社会保険がかからず、勤続1年あたり40万円以下であれば税金はかからないというように、かなり優遇されています。

例えば、退職金のない年収500万円の人が、年収のうち年間36万円を中退共の掛け金に振り替えるとどうなるでしょうか。
(計算上、社会保険は給与の15%とし、扶養者等はないものとします。)

退職前は税金等を差し引いた年間手取りは26万円減少します。しかし、退職時に36万円もらえるので、実質的な手取りは10万円増加していることになります。これが20年続くと、200万円手取りが増え、720万円の老後資金の積み立てができます。
また、毎年の給与が減少することで会社の社会保険料負担額が年間5万円削減できそうです。人数が多ければ、かなりのコストダウンになりますし、加入することで助成金を受け取ることも可能です。

このように、同じ支払額でも、支払方法次第で手取りが増え、また会社のコストを削減することができます。毎年、昇給の面談時にでも、人件費総額からどれだけ退職金に振り替えるか話し合いをされてはいかがでしょう。
「加入後1年未満で退職すると退職金はもらえない」等の注意点はありますが、このような取り組みにより、従業員の定着率が高まったり、リクルート活動にも有利に働くのではないかと思います。

by 加古宗利

「気持ちの方向転換」

サッカー日本代表のワールドカップ出場をかけた試合が、先日行なわれ、私も日頃はめったに見ることがないサッカーの試合をテレビで食い入るように見ました。

 にわかファンではありますが、世界と戦っている日本代表の姿は、詳しいルールまでは分からない私でも感動しました。

 

 ところで毎回問題になるのが、加熱したサポーターの非常識な行動です。今年は、渋谷のスクランブル交差点を通行規制して対応するという動きになったようです。

次の日のニュースで、このサポーターに対応した言葉巧みな警察官の方が「DJポリス」として取り上げられており、大変な話題となっていました。

 サポーターへの対応として、「お巡りさんも、こんな良き日に怒りたくありません。」とか、「チームワークで駅のほうへ進んでください。家に帰るまでが応援です。」などのマイクパフォーマンスを見せ、サポーターから「お巡りさん」コールが起きるなど、微笑ましい光景として取り上げられていました。

 

 興奮しているサポーターの言動を頭ごなしに規制するのではなく、同調したうえで、同じ日本代表を応援する者として、相手の気持ちを大事にした対応がとられていました。最終的には、サポーターを味方につけるまでになっており、その方法にとても感心しました。

 

 相手に何かしてもらいたいとき、その人が自分と同じ方向を向いているときは、そのままストレートに伝えればよいのですが、別の方向を向いている人には、方向転換をさせてからでないと上手く伝わりません。それも無理やりではなく、共有できるところを見付ければ、自ら方向を変えてくれるのかなと感じました。

 後日、警視総監賞を授与されたそうで、いろいろな意味ですばらしいなと思いました。