消費税増税、その前に

いよいよ消費税率のアップまで1ヶ月を切りました。
必要なものを駆け込みで購入しようとお考えの方も多いと思いますが、消費税の課税事業者の方には申告に備えて2種類の税率に分ける作業が必要です。

消費税がどちらの税率になるかは、基本的に売上や仕入等の費用の計上時期と同じです。
つまり、商品の受け渡し日やサービスを受けたりする時点が3月末以前かどうかで判断します。
したがって、請求書で末締めでないものについては分けて処理する必要があります。
特に売上や仕入を入出金日で記帳されている方についてはそれぞれの取引を分ける必要がありますので、3月末決算以外の方は、3月末で一度決算をするつもりで決算資料を作った方が早いかと思います。
なお、消費税の簡易課税制度の適用を受けている場合は、売上等の消費税を預かる取引にだけ注意すればOKです。

ただし、税率の分け方については例外があります。
例えば、光熱費や電話代については、4月30日までの締日に対応するものは5%の税率です。
また、昨年9月30日までに契約した一定の請負工事や賃貸契約については、4月以降の引渡し等でも5%になります。
上記以外の特例もありますので、何が関係してくるかを早めにご検討ください。

最新版の弥生会計をお使いの方は、3月末までの仕訳は5%、4月1日以降の仕訳は8%に自動的に処理されますが、納税額を計算するためには税率の修正作業が必要です。
決算や確定申告の時期にさかのぼって作業する必要がないように注意点をリストアップの上、準備していただければと思います。
ちなみに、一年半後に予定されている10%への増税時にもこの作業は必要となりますので、この準備は次にも活かされると思います。

生活費と贈与

贈与税についての問題です。
以下の場合に、税金はかかるでしょうか。
①親が収入のない40歳の子供に生活費を毎月30万円渡している。
②私立大学の医学部の学費として、親が毎年1,000万円払っている。
③結婚祝いで、50人の方から200万円もらった。

上記の事例は個人間のお金のやり取りの話で、税金の世界では贈与税がかかるかどうかの判断になります。
答えは、全ての問題について、原則として贈与税の対象とはなりません。
贈与税には元々1人当たり年110万円の非課税枠がありますが、上記のケースではその110万円の中にも入ってきません。
というのも、贈与税にはその課税対象とならないものがあるためです。

そのなかで誰もが関係する例としては、以下の2つがあります。
・扶養義務者間で通常必要な生活費や教育費を贈与した場合
・お祝い金や香典等で社交上の必要性があり、通常の金額である場合
「通常」という表現になっており、金額の基準は明示されていませんが、基本的に常識的な範囲内であれば問題ないということでしょう。
ただし、使い切らずにお金が残ってしまうとその部分は贈与税の対象となりますのでその点はご注意下さい。

昨年の12月に国税庁から『扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」や「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A』が発表されました。
特に改正があったわけではありませんが、おそらく間違いが多いので、来年以降の相続税の増税を前に正しく理解してもらいたいという意図が感じられます。
ちなみに相続税の調査では、必ずといっていいほど亡くなった方の生活費がどれくらいであったか聞かれますので、今のうちに生活費がいくらなのかを再確認していただくとよいかと思います。

新年の抱負

ここ数年、相談業務の強化を意識して仕事に取り組んでおりましたが、昨年は自信を持って回答できるようになってきたと実感することができました。
一方で、会計事務所の提供するサービスとして、現状がベストなのかどうかを考えることも増え、個人的には仕事内容に行き詰まりを感じることもありました。

今年は、お客様のご要望を元に新たなサービスを模索したいと考えています。
そのためにも、外部セミナー等にも積極的に参加し、喜んでいただけるサービスの発掘をしたいです。
もし、ご要望等がありましたら、お知らせいただければ幸いです。

最後に、プライベートでは家族との時間を大切する、これも重要な目標として掲げたいと思います。

納税のための預金、始めませんか

ご存じの通り、来年4月から消費税率が5%から8%にアップします。
となると、利益の有無にかかわらず、取引が変わらなければ納税額が6割も増加してしまいます。
さらにその一年半後には10%への増税が予定されていますので、ここ数年で消費税の納税額が倍増ということになるでしょう。

国税庁の統計によると、平成24年度に滞納となった国税5,935億円のうち、実に3,180億円(53.5%)を消費税が占めています。
つまり、消費税は最も滞納となりやすい税金といえます。
なかでも、平成9年4月の前回の増税直後には消費税の滞納額が急増していますが、増税による納税資金の確保ができていなかったことが原因と思われます。
納税が遅れると延滞税という経費にならない利息が発生してしまいますが、それを避けるためには必要な納税額の把握とその管理方法が大切です。

納税資金を確保する上で、まずは必要な金額を計算しなければなりません。
増税直後であれば、単純に前期の1.6倍でもよいと思いますが、消費税が税抜経理の方は、試算表から【仮受消費税-仮払消費税-予定納税額】と引き算をして、その時点の納税必要額が計算できます。

後は納税資金の管理方法です。
特に、増税直後は一時的に手許の資金が増加しますが、それは「預かっている消費税額」が増加しているためです。
預金残高に余裕があると気持ちがゆるみがちというような方は、納税用の別口座を設けた方がよいでしょう。
簡単に引き出さないように、定期積金にでもしておくと確実です。
これからの度重なる増税により納税資金の確保は重要度が増してきますので、早めの対策をオススメします。

by 加古宗利

税務調査に備えた年末調整

今年も残すところあと2ヶ月となり、税務の世界では年末調整の季節となりました。
平成25年の改正点は、例年の所得税に復興税(2.1%)がプラスされることと、給与がかなり高い水準の方(年間1,500万円超)については、必要経費部分(給与所得控除額)が減額となり、結果として税額が増加することです。
といっても、今年の1月以降に支払われている給与から改正は織り込み済みのため、年末に多額の税金を払うわけではありません。

年末調整といえば、生命保険や地震保険等の控除証明書を準備するイメージがあると思います。
ただ、金額的な影響を考えますと、生命保険等の控除額は数万円程度なのに比べ、扶養控除額は数十万円単位なので圧倒的に重要です。
扶養控除額が多すぎるときは税務署から連絡がきますが、少なくても連絡はきませんので、控除もれがないようにご注意下さい。

ところで、税務調査を念頭に置いた場合、年末調整で最も重要なことは、「給与から所得税が正しく天引きされているかどうか」だと思います。
所得税の天引き方法には、主に「甲」と「乙」の2種類の方法があり、年末調整時に記入する扶養控除等申告書(通称「まるふ」)が提出されていれば「甲」、そうでなければ「乙」となります。
「甲」の方が天引きする税金は少ないのですが、提出もれがあるのに「甲」で天引きをしているケースを調査の現場で何度もみてきました。
そうなると、天引き不足分をペナルティーと併せて納付することになってしまいます。

また、年末調整時に「翌年分」の申告書を提出するのが一般的ですが、新入社員等で前年に提出していない方は「その年」の分の提出も必要です。
新入社員は入社日に、育児休業等で復帰した従業員は復帰した日に、「その年」の申告書を書いてもらうといったルールにしておくと提出もれを防ぐことができ、不必要な納税を回避できると思います。

by 加古宗利

消費税は税抜経理がオススメ

会社の経営において、月次の利益は大切な指標ですが、消費税の経理方法によって利益に差が生じることをご存知でしょうか。
経理方法には「税抜」と「税込」の2つがありますが、例えば税抜60万円のものを仕入れて、税抜100万円で売却した場合の利益は税抜経理の場合、
 【100万円-60万円=40万円】と計算されます。
一方、税込経理の場合は、
 【105万円-63万円=42万円】となり、同じ取引を行なっていても利益にズレが生じます。

このズレの原因は消費税の納税額2万円ですが、これは通常決算時に経費計上されますので、それまでは正しい利益が把握できません。
本来、消費税は利益に影響させないことが大前提ですが、税込経理では消費税の納税額分が月次利益に影響を及ぼします。

このように、利益を正確に計算したい場合は税抜経理にした方が良いといえますが、それ以外にも税抜経理には次のようなメリットがあります。
<メリット>
①資産を購入した時に、すぐ経費になるものが多い
②交際費も消費税分が少なくなる
③償却資産税(固定資産税)が安くなる
④消費税の納税額が【仮受消費税-仮払消費税】で簡単に計算できる
⑤過年度との損益比較がしやすい

一方、以下のようなデメリットも。
<デメリット>
①経理処理がやや複雑で手間がかかる
②特別償却・税額控除の適用では、やや不利である
③税込経理から税抜経理へ変更すると、同じ売上額でも少なく表示されてしまう

このように、それぞれ特徴的な部分がありますが、その実質で考えますと圧倒的に税抜経理が有利だと思います。
今後、消費税率がアップしていくたびに、そのメリットも増えていくでしょう。
戻すことも可能ですので、税込経理を選択されている方は変更を検討してみてはいかがでしょうか。

by 加古宗利

ウナギ価格の高騰

先日、5年振りにお気に入りの鰻屋さんに行ってきました。
近年、ウナギの稚魚であるシラスウナギの不漁が続いており、価格は、1キロあたり248万円と2年前の約3倍、10年前の15倍以上の価格になっています。
価格高騰前の金相場と同程度と考えると、その高価さに驚かされます。
値段はどうなったのだろうと思いながらお店に向かいました。

さて、混雑する時間を外して来店したのですが、人気店だけあって、昔と変わらず行列ができていました。
30分ほど待って入店し、早速メニューを見てみると、値段は昔と比べて1.5倍以上になっていました。
ただ、他店がウナギの量を減らすなか、昔と同じくらいのボリュームを保っています。
味も美味しく、大満足でした。

ニホンウナギは、今年に入って環境省により絶滅危惧種に指定されました。
国際自然保護連合でも絶滅危惧種に載せるかどうかの検討を始めたとのこと。
また、完全養殖化は技術的には成功しているのですが、実用化にはまだ時間がかかるようです。
このままでは、ウナギが食べられない日が来るかもしれません。
そこで、愛知県はシラスウナギの漁期を短縮し、宮崎県と鹿児島県では一定の大きさ以下のウナギの捕獲を禁止するなどの取り組みを始めています。

会計時には高級料理だなあという気分になったものの、元々、良心的な価格設定のお店だったので、この値段でも経営的には厳しいのではないかと思います。
老舗の鰻屋が相次いで閉店するなか、今後もおいしい鰻料理をつくり続けてほしいと思います。

by 加古宗利

パソコンのメモ帳って便利!

パソコンのソフトで、マイクロソフトのワードやエクセルはよく使うと思いますが、ウィンドウズのメモ帳機能ってご存知ですか。
これは、ウィンドウズのパソコンに最初から入っている文書作成機能で、通常は、「プログラム」の「アクセサリ」の中にあります。
一般的には馴染みのない機能ですが、個人的には大変重宝しています。

このソフトは、文字を入力する機能に絞ったものなので、ソフト自体が軽く、サクサク動きます。
また、ウィンドウズのバージョンが違っても同じように使えますし、パソコンだけでなく、スマートフォン等でも編集作業が可能です。
機能は最小限ですが、検索・置換やヘッダー・フッター機能は使えますので文書作成には充分です。
実は、このブログ作成もメモ帳で行っています。

ただし、気をつけなければならないのは、1つのファイルを同時に複数開くことができてしまいますが、同時進行での編集はできないことです。
さらに、編集作業を元に戻す機能が、1つ前までしかできないので、重要な文書ファイルとしては使いづらいかなと思いますが。

私の主な使い方は、思いついたアイデア等をその都度、とりあえずメモ帳に入力し、後日内容をまとめて、必要に応じてワードやエクセル等にコピーして脚色し、完成という感じです。
文書を作成する際には、見栄えを良くするためについ脚色に時間をかけてしまいがちですが、脚色自体が不要なケースではその機能がない分、無駄な時間短縮に一役買っている気がします。
使い方の注意点はありますが、一度お試しいただければと思います。

by 加古宗利

株式投資と税制改正

日経平均株価は昨年の秋に比べ半年で50%以上も上昇し、ちょっとしたバブルの様相を呈しています。
株式に投資している方の中には、売却益が発生していたり、含み益がある方が結構いらっしゃるのではないでしょうか。
一般的に株式投資は、株価の値上がり益や配当収入を目的として行われますが、それらに関連して今年の3月に大きな税制改正が成立しました。

平成26年から株式売却にしても配当にしても、儲けに対する税率が1割から2割へと倍増することになります(復興税は除きます)。
これまで11年間続いていた軽減税率が終わることになりました。
そこで、税制が変わる前はやり方次第で税金の損得が出やすくなりますので、以下の3つのケースで節税方法を考えてみたいと思います。

①含み益が多い方
おそらく今年中に売却して含み益を減らしておいた方がよいでしょう。
来年以降に売却を持ち越すと税金が倍になりかねません。

②含み益と含み損が同じくらいある方
判断が難しいですが、含み益のある株式は益出ししておいた方が良いかもしれません。
一方、含み損は来年以降の売却益や配当所得との相殺が効果的です。
また、1年間分の配当所得相当の売却損を作って、配当から天引きされる税金を還付してもらう方法はお勧めです。

③含み損が多い方
含み損が多い方は、特に対策の必要はないと思います。
②と同様に、年間配当分の売却損を作る方法は有効です。

ちなみに、含み益が多いけどずっと保有していたいという方は、一度売却して、再度購入する方法もあります。
こういった取引(益出し・損出し行為)をクロス取引と呼びますが、会社と違い個人では認められています。
売買手数料もネット証券であれば、1取引で1,000円もかからなかったりします。

来年から税金が倍増することが確定したので、年末に向けて含み益を抱えた株主の駆け込み売りが殺到するかもと個人的に思っています。
(※株式投資は自己責任でお願いいたします。)

電子文書で仕事を快適に

先日、経営再建中のシャープがライバルのサムスンから資本提携を受けるとのニュースがありました。
中でも驚いたのは、本当の狙いは複写機事業であるという記事です。
昨年の複写機業界における世界シェアは第5位だそうです。
しかも、上位5社には日本企業が4社も占めるようで、複写機業界で日本がこれほど強いとは思いませんでした。

その複写機は、今ではオフィスに欠かせない存在となり、機能としては文字通りのコピー機能だけでなく、FAXやプリンター機能、そしてイメージスキャナ機能を兼ね備えた複合機が主流だと思います。
石田会計では、全ての機能を使いこなしていますが、特に便利だと感じるのがスキャナ機能です。

スキャナ機能は、ご存知の様に書類等をスキャンして電子文書を作成する機能ですが、使ってみて便利だと思う点を挙げてみると、
①場所を取らない。
②保管場所を決めておけば、すぐ見つかる。
③大量の電子文書でも、検索機能を使えばあっという間に探すことができる。
④外出先で、iPadなどのタブレット端末やスマートフォンでも見ることができる。
⑤紙やトナーの節約とゴミの削減につながる。

特に、「探す」という行為には、想像以上に時間を使っているものですので、効率アップに大きく貢献しているでしょう。
最近は、お客様からお預かりした資料は、コピーせずにスキャンだけ行うことが増えてきました。
また、電子文書のソフトには印刷機能を持つものがあり、エクセル等で作成したものを電子文書化して、スキャン文書と一緒に保管することもできます。

一方、デメリットはデータ管理の負担が増えることぐらいで、あまり思いつきません。
ただ、申告書等の重要書類のチェックには、紙の方が適していると感じますので、全く紙を使わないという訳には行きませんが。

同業者には、お客様ごとのファイルをなくし、すべて電子文書で管理しているところも出てきているようです。
先日それを聞いて、うらやましいと思うとともに、自分もやろうと決めました。
もちろん、セキュリティーの管理を厳重にすることが大前提ですが、軽いカバンを持って軽快に訪問できる日を楽しみに、これからトライしていきたいと思います。