北欧のやきもの展

 先日、愛知陶磁美術館を訪れました。愛知陶磁美術館では現在、1950~1970年代の北欧のやきもの展が開催されています。
 当時の北欧の陶磁器メーカーは、芸術作品を生み出す工房と量産タイプの製品を生産するラインを有していて、これらが同じ創造の現場から生まれていました。

 色々な作品を見て、植物や自然を感じさせるものが多かったように思いました。最初に登場したアクセル・サルトの作品は、途中から果物や植物をそのまま器にしたような作品で、私の北欧陶芸のイメージにはなかった独特な造形美でした。そして今回惹かれたのは、ろくろ職人ベルント・フリーベリの作品でした。自然なフォルムや北欧の大地を思わせるソフトな色合い、素朴で悠然とした雰囲気で、繊細で洗練されている印象です。北欧らしさが詰まっていたので魅了されたのだと思いました。

 他にも私の好きなスティグ・リンドベリやリサ・ラーソンの作品を見ることができました。後者の作品は、形や動きがシンプルな暖かみのある動物などの作品で、楽天的な作家の性格が表れているかのようです。以前雑誌で読んだのですが、いつも時間がなくて何かが足りない気がして、一度も完成したと思ったことがないそうです。だからアイデアに困ることもないし、飽きないで続けられるんだとか。芸術家の気質として、妥協しないというのはよくある話ですが、こういう満足しないというのもあるのだと思いました。それも含めてなかなか真似できない才能だと感じます。

 日本でも柳宗理などが、北欧の陶芸家やデザイナーたちと様々な交流を持ち、造形や思想に影響を受けています。私は柳宗理のキッチンウェアを日常に取り入れていますが、たまに美術館などを訪れて、心打たれた作品についてその理由を探ってみたり、作家の人柄や考えが作品に表れていることを感じてみてはいかがでしょうか。その過程で色々な発見が楽しめると思います。