「奥様をとりまく環境」

 最近よく耳にする「一億総活躍」への準備が多方面で進んでいます。

 大企業の配偶者手当廃止のニュースも話題になりましたね。
 春闘は何千円単位ですが、手当は数万円単位なので家計への影響が大きいです。

 以前から「給与」に結婚しているか否かの個人的要素を加味することへの是非はありましたし、
年功序列型から能力重視型への給与体系が流行したときに廃止した企業も多くありました。
 それでも、人事院調査によると現在75%の企業に配偶者手当があり、そのうち半分が所得制限(所得税関係の103万以下、社会保険の130万以下)の基準を設けているそうです。
 所得制限を設けない企業も半数あり、「結婚」自体への手当なのでこれもまた、奥深いですね。
 この所得制限が女性活躍の妨げであると、本来会社が自由に決められる給与の「手当」に国や経団連が見直しをすすめています。
 
 よく聞かれる「奥様のパートはいくらまでがいいのか?」との質問にもご主人の給与の手当を加味していましたが、今後は損得の分岐点が下がりそうです。
 500人超企業のパートの社会保険加入も今年の10月から義務化(週20時間以上勤務・年収など一定要件あり)されますし、その後中小企業への浸透も進むでしょう。
 税制扶養内の奥様が前提の法律・制度は女性活躍の弊害として、どんどん改定されていきますので目が離せません。

  配偶者手当は縮小方向ですが、子供には国も企業も拡充方向の流れは変わりません。
 実際に、ニュースになった配偶者手当廃止企業では子供手当が拡充されています。
 育児・介護重視の時代の流れはしばらく続きそうですので、流れを汲みつつ、手当など給与制度見直しの際には会社の思いを込めていただきたいものです。

 「固定資産税の話」

 ただいま、繁忙期で決算などの通常業務に加え、確定申告真っ最中です。
毎年の処理とはいえ、今年は昨年に比べ、ふるさと納税・贈与申告が増え、不動産所得を申告させていただいているお客様の大半は固定資産税が上昇しているなぁ、と個人的に感じております。
 昨年H27年は3年ごとに見直される固定資産評価替の年で愛知県では、名古屋市を筆頭に約半分の市町村で基準宅地価格が上昇のためです。
 
 先日、「固定資産税の過大評価・過大徴収はどうして起こるか」という記事を読み、下記の理由が挙げられていました。
・各市町村が作成する「土地評価」方法をチェックする機関がないので、各市町村により評価方法・評価額が違う
・固定資産税担当が専門外で、申立しても、棄却が9割の実態
・国税にはあるが、固定資産税などの地方税には不服審判所がない

 以前にも、「雑種地」が「宅地」認定などの土地地目間違いや、建物の種類違いなどによる固定資産税の課税誤り、過大評価の訂正事例といった記事を読んだことがあります。
 その時は、そのような事もあるものだ、との印象でしたが、今回は根本的な運用についての内容で、説得力があるので不安になり、自宅の過去10年の固定資産税明細を確認しました。
  
 まず、所得税や贈与税は自分で計算して納税ですが、固定資産税は市町村が税額を算出します。地目や家屋種類などはすぐに確認できますが、算出方法についての案内が同封されているものの自分で税額が適正か調べるのはハードルが高いです。
 私自身も、固定資産税は毎年春に口座引落される程度の認識で、間違っているかも?という視点で考えたことがありませんでしたが、先述のような情報も現実にはあるので、注意深く明細を見ることも大切だと痛感しております。

仕事観いろいろ

先日、友人から相談を受けました。
「自分のペースで好きなだけ仕事をしたいのに、会社から早く帰るように言われる。
管理職待遇なので残業・休日手当は無く、深夜残業手当は出るが、申請するつもりはなく、そもそも十分な処遇を受けているので不満もない。何か問題なのか?」との趣旨でした。
 
 今までは「会社が労働者を働かせる際に気をつけること」という視点から法律を考えることが多かったのですが、「仕事意欲のある労働者の弊害になるもの」という視点から考えたことがあまり無かったので新鮮でした。
 
 まず、残業代が無いからいくらでも働かせてよいという解釈はなく、管理職は役員ではなく労働者なので、有給、労働日と休日の明確な線引きが必要で、もしケガなどした場合は労働時間か否かで労災の適用にも影響します。
 会社も心身の健康を害するような労働を看過してはダメですし、ブラック企業というレッテルの社会的制裁は重いものです。
 また、国の方針として労働時間削減、有給消化促進などいわゆる「時短」を進めているので企業側も対策を余儀なくされています。
 もちろん一時的なものではないため国策「時短」の大きなトレンドは今後も続いていくでしょう。今春にも一定条件がありますが、有給消化義務を含む労働基準法の改正がある予定です。
 
 「仕事への熱意、モチベーションを上げるにはどうすればいいのか?」といった人事面の相談や、そのジャンルの啓発研修・書籍も多くあります。
 仕事意欲のある人にとって法律やトレンドの「時短」がボトルネックになっていると考えると「もったいないなぁ」と複雑な悲しい気持ちになります。

 法律がボトルネックの場合は経営努力で改善できませんが、意欲・能力を生かせるような幸せな労働環境整備には経営者の影響が大きいと思います。
 参考になるような事例があればご紹介できるよう、今後も情報収集・自己研鑽に努めていきたいと思います。

「新年の抱負」

 今年は人事関係の知識を深めていきたいと思います。
 もともと好きな分野で業界紙や本などを読んでいましたが、最近では人事コンサルなどのセミナーにも少しずつ参加するようにしています。
 第一線で活躍するエネルギッシュな講師の話を聞くだけで向上心が湧いてくるので、足を運ぶ価値は大きいものだと実感したからです。 
 また、参加者は主に人事担当者で自社に取り入れるか否かを検討しに来ているので、真剣ですし、質問も具体的で勉強になります。休み時間などの意見交換などを通して現状のお悩みを聞いたり、お勧めの本を紹介していただいたり、とてもいい刺激になります。
 プライベートでは・・・
 昨年、地域の役員をさせて頂いた関係でソフトボールをする機会がありました。学生時代以来したことがなかったので、グローブもなども紛失していて新調しました。せっかく道具が揃ったので今年も時々使うようにしようと思います!

「人事アセスメント」

 近年、投資・育成価値の高い人材を見極めるニーズに対応した人事コンサルが人気との事で、セミナーに参加しました。
 一般的にリーダーに求められる要件としては・・・
問題解決能力、部下指導力、PDCAを会社方針で回す管理・実行能力などが挙げられます。
 リーマンショック後は前述に加え、課題設定、革新性、社会規範の遵守、継続成長できる組織力作りなど、3年~5年で実行できる能力などが求められるようになり、特に「変化に強い」人材を求める傾向強まった事が以前との大きな違いのようです。
 
 「変化に強い」とは定義がなかなか難しいですが、考えられる要素として若さ、柔軟性の資質が挙げられます。
 そのため30歳前後の管理者候補を見定めるアセスメント(調査)需要や、M&Aなど組織再編の際、複数社の管理者から統合後のビジョンに適した資質もった人のアセスメント、昇格試験の一部への活用などニーズが増えているようです。
 
 内容としては、グループ討議、インバスケットゲーム(緊急事態におけるマネジメント力をはかる)、360度評価(自分評価と周囲評価のギャップ分析)、高圧的な部下への対応・反応観察など多面的に評価できる構成となっておりメンタル面の評価もできるものでした。

 実績、行動など過去・現在は目に見え評価できますが、目には見えにくい資質、信念など未来へ影響し、かつ人格を支えているものをアセスメントし、適正を見るというのは難しいですが大切です。
 企業から依頼を受ける側も人事考課に影響するので、その人の人生が変わるかも、との緊張感を持ち対応してるとの事で、自己啓発やいわゆる”気付き”を目的としたセミナーとは全然違うものでした。
 社員のことはもちろん外部より会社が理解しているとは思いますが、客観的な刺激として外部サービスを活用することは大変価値のあることだと感じました。

『いよいよストレスチェックが始まります!』

制定まで熱い議論が多かった「ストレスチェック」が12月から義務化されます。
概要は・・・
①労働者の心理的負担を把握するため、医師等による検査(ストレスチェック)を受ける機会を“希望”する労働者に提供すること。
 
②事業者は、検査結果が高ストレスと通知された労働者の“希望”に応じて医師による面接指導を実施すること。

③その結果、医師の意見を聴いた上で、必要に応じ作業の転換、労働時間短縮などの措置を講じること。この際、労働者に不利益な取扱いを禁じています。
※従業員数50人未満の事業場は当分の間努力義務、実施の場合は一定要件のもと費用の助成あり。

 健康診断のように「全員」ではなく「希望者」になりました。
 本人の同意なく企業が結果を知ることはできません。結果が把握できない労働者がメンタル不調になった場合も今まで通り、企業の安全配慮義務責任は変わりません。
 意図的に回答操作できるので、実施の意味があるのか?との議論もかなりあり、お蔵入りになりかけたストレスチェックが施行される事実に、大変な意義を感じます! 
 
 第一はうつ、自殺者の予防ですが、自身のストレス状態を知ることでセルフケアに役立つ、病気なら治療の機会に結びつく、職場が高ストレス状態なら、職場単位の改善につなげるなど色々あります。
  
 仕事柄、メンタルヘルスの勉強や、研修に参加していますが、事例や判例などはとても深刻です。
 関心がないことはある意味「幸せ」かもしれませんが、大切なことだと思いますので、以前社内スタッフ研修でも取上げました。
 厚生労働省のHPに「5分でできる職場のストレスセルフチェック」がありますので実施義務はない会社も、どんなものか?知るにはオススメです。(※これをもって法に基づくチェックをしたことにはなりません) 

 ストレスチェックをきっかけとして、自分と周囲を大切にする価値観が浸透していくといいなと思っています。

『読書の秋』

先日、悪天候のため毎年7月開催が9月に延期された「伊勢神宮奉納全国花火大会」に行ってきました。
 私は、地元で海の日に行われる「みなと祭り」の花火で今年も夏が始まる!という実感が湧くのですが、先日見た花火は、秋風や生えていたススキの演出で、夏が終わったなぁと少し寂しい?気持ちで、これもまた新鮮でした。

 花火の起源は江戸時代、徳川吉宗が享保の大飢饉の餓死者を弔うため、生き残った人々の心に潤いを与えるため打ち上げたそうで、現在も隅田川花火大会へと続いているのです。

 長い間花火好きでしたが、この話を知ったのはつい最近です。
 人気のため、一ヶ月待ちの予約注文で購入した、全15巻からなる歴史の流れがわかる日本史本で知りました。ただ今、読書の秋を満喫しております。
 
 私は高校の頃、世界史を(必修過程終了後も)選択していたため日本史は近代史を1年学んだのみで、体系的な知識は義務教育レベルで止まっています。
 音楽関係の西洋史に興味があったこと、世界史の方がルネッサンスなど華やかな印象が良く、日本史と迷うことなく世界史を選択しました。
 卒業旅行でヨーロッパを訪れたときも歴史を少し知っていたので興味深く楽しめたのを覚えています。
 その反面、心のどこかに日本史の知識に暗いことに対する負い目?がずっとあったように思います。
  
 近年、文部科学省は高校で現在選択科目となっている日本史を必修とする検討を始めているそうで、国際社会で活躍する人材の育成には自国の歴史への理解が欠かせないとの判断からだそうです。自治体レベルでは既に必修化しているところもあるそうです。

 確かに、世界史が「必修」なのに自国の歴史が「選択」とは違和感がありますよね。
 興味が湧いたときや、必要に迫られて学ぶのが、身になるのかもしれませんが・・・
「必修化」の経過を見守りつつ、しばらく日本史に親しみたいと思います。

「最近のマーケティング事情」

 みなさんは、お財布にクレジットカードやポイントカード入っていますか?
 あるシンクタンクによると、家計支出の3分の1はカード決済やポイントに関係しているそうです。
  
 お財布の中の複数のカードをまとめたい!という消費者のニーズに応じ、共通ポイントカードへと進化させた最大手が「Tポイント」ですが、最近では、「3大ポイントサービス」と言われるように共通ポイントの提携企業が増え、今までの煩わしさが改善される流れのようです。企業側にも大きなメリットがあるのです。

 「Tカード」は国民の約40%がカードを保有しており、且つカードが使われている(発行済未使用が少ない)という強みを活かし、運営会社はマーケティングに欠かせない「ビッグデータ」を基にしたコンサル依頼が増えているそうです。
 「性別」「年齢」「住所」をはじめ、「いつ」「どの店で」「何を」というポイント提携先での購買履歴、「好み」や「趣味」といったアンケート情報までデータは日々増大します。
 購買履歴だけでも月1億件以上が新たに登録され、ここでいう「1件」とは、レシート1枚分なので、中には各商品の明細情報が含まれるので、実際には何倍ものデータが日々蓄積されるのです。
 
 従来の「マーケティング」といえば企業側から顧客への一方向性でしたが、「ビッグデータ」により企業と顧客の双方向性のニーズに対応できるのです。
 例えば、小売チェーン店から出店場所選定時のコンサル依頼では、その地域の消費者の購買データから来店客の「年齢層」「来店時間帯」「平均購入金額」などの傾向を割り出すことで、出店にともなうリスクを最小化できるのです。
 商圏の見定めは大切ですし、従来のように通行量調査などしなくてもいいのです。
 
 個人的には・・・家計管理として10年ほど前に、記録性やポイントのメリットを加味してクレジット引落としに集約できるものはしたものの、その後見直しをしていません。我が家の支出内容も変化し、「十年一昔」とも言うので、そろそろ見直しないといけません。

『本の話』

 石田会計では税務会計をはじめ、人事総務、経済、新刊書の紹介などの情報誌を定期購読しています。ニュースや新聞では得られない情報も多く、様々な業種の特集があるので、興味深いものばかりです。
 税務関係は税理士が会議でホットな情報を紹介してくれ、お客様にお伝えすべき情報は石田会計ニュースで紹介しています。
 
 最近読んだ人事記事は百貨店のお話でした。
 概要は売上減対策として、営業時間延長、休業日を減らすと売上は上がるが、従業員の心身負荷が増え、接客サービス低下や離職率が上がる、という汎用性のある?お悩みでした。
 そこで、思い切って営業時間短縮、休業日増加をしたそうです。
さらに売り場成績に応じた報酬の支給、表彰制度を導入し「現場力」を高め、評価としては7割ほどの支持率だそうです。
 時代に逆行ともいえる営業時間縮小ですが、同時に人事制度を上手く改定することにより社内改善に留まらず、同業他社からの優秀な転職希望者が増えたようなので、いい参考事例になりそうです。

 今年は特に、お客様からも採用難をはじめ、人事関係のお悩みを聞いていますが、つい先日、いい人事本があると紹介され早速読みました。
 相手が「オススメする本」を読むことは、現状のお悩みや今後の方向性が良くわかるので大変役に立ちますし、お客様が世の中にたくさんある人事本の中からいい本に出会った事自体、とても嬉しく思っています。
 「本は出会うべくして出会う」と、昔ピアノの先生に言われた言葉なのですが、先生曰く、気になった本はその本が自分を呼んでいるから気になる、薦められた本は紹介の出会いのようなもので、結構気に入っている個人的な「名言」です。
 
 今は、「7つの習慣」を再読中です。一回読んだものの評判ほどの良さがよくわからず、同名の漫画を買って内容理解し、改めて最初のハードカバー本を読んでいます。
 なかなか読みはかどらないので、紹介され出会えたものの、ご縁がないのかもしれません(笑)

『年下の奥様は年金がお得!?』

 あまり知られていない公的年金の一つに「加給年金」というものがあります。
 扶養手当のようなもので、サラリーマンだった夫が65歳になった時、65歳未満の奥様や高校生以下の子供がいれば、奥様が65歳、子供が高校卒業まで、1人につき年間約22.5万円が夫の年金に上乗せされる制度です。
 さらに、奥様分の加給年金には、特別加算額16.5万が加わるので、夫の年金への上乗せは年間約39万円になります(いずれもH27年の金額)。

 制度上、夫が65歳になった時から奥様が65歳になるまで受給できるので、10歳年下の奥様がいれば、夫が65歳以降に受け取る加給年金の総額は10年で390万円にもなります。それ故、年下奥様はお得といわれているのです。
  厚生年金の加入が20年以上など条件がありますので、ご夫婦での役員報酬の設定、社会保険の得喪、退職時期を調整できる場合は是非、年金の加入歴を加味していただきたいものです。
 
 他にも厚生年金に44年加入すると「長期加入者特例」といって65歳までの年金が約75万ほど増えるのです。うっかり43年加入で退職とならないように気をつけないと損してしまいます。
 最近では、役員だけでなく定年延長などで一般社員でも該当するケースが増えてきました。
 定年後、年金を満額受給するために会社で社会保険に入らず嘱託勤務するケースがありますが、「長期加入者特例」に該当するか否か知っていれば損得計算がガラリと変わるのですが・・・誰も教えてはくれません。
 ちなみに条件を満たせば「加給年金」と「長期加入者特例」は両方受給できます。

 社会保険は不平等感がある(?)制度なので常に改正案が出ております。
 特に年金は改正の繰返しで複雑になっており、知らないと損する制度が多々ありますが、知らないため「損したことに気付かない」人が多いようです。権利も時効5年で消えていきます。
 ご紹介を簡単にしましたが、加入歴は年金定期便でも確認できますし、年金相談センターなどに足を運んでいただけると親切に教えていただけます。是非ご利用してみて下さい。