「役員報酬の定期同額給与改正」

 平成29年度税制改正法が3月27日に参議院本会議で可決され、成立しました。
 改正項目の一つとして、役員報酬の定期同額給与についても見直しが行われました。

 役員報酬は毎月同額でなければ経費として認められず、金額の改定は基本的に事業年度開始から一定期間内に行う必要があります。
 役員報酬を増減させることによって、法人の所得を操作することを防ぐためです。

 今回の税制改正では、「毎月同額」の対象範囲が若干拡大されました。
 今までは給与の「額面」が同額でなければ経費になりませんでしたが、改正後は「手取額」が同額の場合でも、定期同額給与として経費計上が認められます。
 「手取額」というのは、額面から源泉所得税や住民税、社会保険料等を控除した後の金額です。
 例えば、6月から住民税が増加して手取額が減るような場合でも、その分額面を増やして手取額が今までと同じ金額になるように役員報酬を設定することができます。
 このような変更であれば、期中いつでも行うことが可能です。

 国内で手取額からグロスアップして給与計算をしているのは、外国人労働者が多いと思いますが、前年所得をベースに翌年課税される住民税が大幅に増加した場合、手取額を保証してもらいたい場合は、この新しい制度を利用しても良いと思います。