「会計監査を受ける立場に立ってみると」

 担当させて頂いているお客様で、大手監査法人からの会計監査を受ける機会がありました。
 どの企業も税務調査を受ける機会はあると思いますが、会計監査は基本的に上場企業を対象としているため、多くの方には縁遠いものかもしれません。上場企業の株式は市場流通性が高く、企業の業績を判断材料に投資意思決定を行うため、決算書の客観的信頼度を高める必要があるからです。
 今回は、上場企業である親会社の決算書に連結される、子会社の会計処理が適切に行われているかどうかを、親会社の監査人が直々に子会社にやってきてチェックをするといったものでした。
 
 監査内容は、まず業界を取り巻く環境や規制、競合他社の動向や、今後の経営展開等、マクロ的なヒアリングから始まり、決裁・承認方法、支払から記帳方法等のミクロ的なヒアリング、及び検証の順に進められました。
 マクロ部分に関しては社長、役員クラスの方に応答頂いたのですが、ミクロ部分は私がメインで対応することとなりました。

 私は会計士という立場で経理に携わっているため、指摘される程の大きな処理誤りは無いだろうとは思っておりましたし、監査法人で3年間監査をする側の経験があるので、どのような点がチェックされるかもある程度想定はできていたものの、監査されるというのはあまり気持ちのいいものではありませんでした。
 結果としては、修正を必要とするような誤りは無く、一部業務フローの見直し程度の指摘に留まりました。

 税務調査も同じだと思いますが、終わってみて一番思うのは、監査を受ける側も不安ですが、歓迎されない所へ行き一定の成果・指摘事項を挙げなければならない監査側も辛い仕事だな、ということです。監査側だけでなく被監査側も経験したことで、内部の好意的でない気持ち、警戒心を肌で感じることができました。
 お互い気持ちのいい仕事ではない分、双方納得できる落とし所を探れるのが最も重要だと思うので、そういった駆け引きの力を磨いていきたいと思います。