「財産承継のいろいろ」

 最近よく耳にするようになった「家族信託」についての研修会に参加しました。
信託といっても、いわゆる信託銀行などとは違い、家族内での契約によって自分の生存中から死亡時、そして死亡後までの財産の管理・承継について決めておくことができるというものです。例えば、父親が持っている不動産を子供を受託者として契約を結んでおくことで、認知症等になって十分な管理ができなくなった場合にも、父親に代わって子供がその不動産を運用・処分することができます。現在の後見制度では、不動産を守ることはできても運用・処分まではできませんので、人によっては使い勝手が良い制度といえるかもしれません。また遺言などの場合は相続人の指定までですが、信託の場合には二次相続発生以降の代々にわたる承継者まで指定することもできます。

 さらに近頃は、飼い主が自分の死後に備えて、ペットの飼育を任せられる人を定め、そのために残した財産を管理する「ペット信託」という手法もあるようです。
自分の財産の承継方法を自分自身で決めることができるというのが、現在の流行りなのかもしれません。

 相続対策などというと、どうしても暗いイメージが付きまとい、先延ばしにしがちですが、自分の財産の使い道を決めておくことで争族対策の一助になると思います。また生前贈与・遺言・死因贈与・信託など、財産の承継方法は様々です。そして、各人の状況にあわせて、これらの中から一つないしは二つ以上の方法を組み合わせて設計していくことで、より理想に近い承継が可能になります。

 まずは、自分自身が自分の財産をどのように使いたいのかを考えるところから始めてみてください。また納税額が大きくなる場合には財産の自由が利かなくなってしまいますので、そのような場合には節税対策は大きな意味を持ちます。財産を動かすことで思わぬ税金が発生することもありますので、その際は、ご相談いただければと思います。