税務調査に備えた年末調整

今年も残すところあと2ヶ月となり、税務の世界では年末調整の季節となりました。
平成25年の改正点は、例年の所得税に復興税(2.1%)がプラスされることと、給与がかなり高い水準の方(年間1,500万円超)については、必要経費部分(給与所得控除額)が減額となり、結果として税額が増加することです。
といっても、今年の1月以降に支払われている給与から改正は織り込み済みのため、年末に多額の税金を払うわけではありません。

年末調整といえば、生命保険や地震保険等の控除証明書を準備するイメージがあると思います。
ただ、金額的な影響を考えますと、生命保険等の控除額は数万円程度なのに比べ、扶養控除額は数十万円単位なので圧倒的に重要です。
扶養控除額が多すぎるときは税務署から連絡がきますが、少なくても連絡はきませんので、控除もれがないようにご注意下さい。

ところで、税務調査を念頭に置いた場合、年末調整で最も重要なことは、「給与から所得税が正しく天引きされているかどうか」だと思います。
所得税の天引き方法には、主に「甲」と「乙」の2種類の方法があり、年末調整時に記入する扶養控除等申告書(通称「まるふ」)が提出されていれば「甲」、そうでなければ「乙」となります。
「甲」の方が天引きする税金は少ないのですが、提出もれがあるのに「甲」で天引きをしているケースを調査の現場で何度もみてきました。
そうなると、天引き不足分をペナルティーと併せて納付することになってしまいます。

また、年末調整時に「翌年分」の申告書を提出するのが一般的ですが、新入社員等で前年に提出していない方は「その年」の分の提出も必要です。
新入社員は入社日に、育児休業等で復帰した従業員は復帰した日に、「その年」の申告書を書いてもらうといったルールにしておくと提出もれを防ぐことができ、不必要な納税を回避できると思います。

by 加古宗利