少数派も検討する

「人の行く 裏に道あり 花の山」
この株式相場の有名な格言をご存知でしょうか。

これは多くの投資家がとる行動とは逆の行動をとったり、注目を集めていないものに注目することが、大きな成功につながるという意味のものです。
投資には勝ち負けの要素が多分に含まれますが、他の人と同じ行動をとっていては勝機が少ないということでしょう。
個人的にも、昔、勉強を兼ねて株式投資をしていたときに、財務内容は良いが人気のない株式に狙いを定めた結果、うまくいったことがありました。

そして、この格言は株式投資だけでなく、ビジネス全般においても有効だと思っています。
昔の職場を含めると、私が担当させていただいたお客様は100社を超えますが、独自の行動をとっている会社は業績が良かったと思います。
その行動例を一部ご紹介します。

(1)交際費削減の時代の中で、あえて交際費を増やす。
統計上、交際費はバブル景気の頃に比べ半減しています。
接待が多い時期よりも少ない時期に行った方が、同じ10万円を使うにしても効果は全く異なるとの考えです。

(2)不況時に人材採用を増やす。
不況時は多くの会社で採用数を減らすので、その分優秀な人材を確保するチャンスが増えます。

(3)景気の良いときに投資を減らして余剰資金を作り、不況時に投資を行う。
不況時は多くの会社で資金繰りが悪化し投資が縮小します。
そういう時期に投資計画を立てることにより、通常よりも安く設備投資ができたり、ローリスク・ハイリターンの投資商品に巡り会えることがあります。

これらの行動例は、需給関係を意識して、少数派にまわった方が競争相手が少なく、良い条件で取引できることを狙ったものです。
勝ち組の多かった高度経済成長期とは異なり、今日の低成長期においては、周りと同じことをしていては生き残ることは難しいでしょう。
ただ、多数派と異なる行動をとることは、孤独や不安と戦うことになりますが、その方が本当の成功を収める可能性が高まると思います。
もちろん、常に少数派が良いわけではありませんが、経営判断をする上で、少数派の選択も検討すると良いのではないかと感じています。

by 加古宗利