「会計監査の啓蒙活動として」

2014年5月に日本公認会計士協会から、「監査業務と不正に関する実態調査」というものが公表されているのをたまたま目にした。

調査結果では、回答者(公認会計士)の約半数が、「不正等との遭遇あり」と回答している。
アンケート対象者に対する回答率が7.5%なので、公認会計士全体の傾向を正確に反映しているとは言えないかもしれないが、それでも多いなと感じた。

「不正等との遭遇あり」とは、
・被監査会社の従業員等による資産の流用・窃盗を発見した
・会計基準から逸脱した財務諸表の故意による表示
などである(中小企業においては会計基準に従った財務諸表を作成する義務はないので、会計基準に従っていないからといってここでいう不正に該当するわけではない)。

また、不正との遭遇の時期では、「0-3年くらい前」が3割弱ほどあったが、驚きはなかった。ニュースにならないだけで、適時開示されているものでも、毎月どこかの会社で不正が起こっているからだ。

この実態調査は、会計監査の実態について、不正という切り口から社会一般に理解してもらうことが、目的のひとつのようだ。
監査は不正を発見することを直接目的としたものではないが、発見すれば当然不正に対応しなければならず、監査人側でも相当の労力を費やす。また、市場から批判にさらされるため相当のプレッシャーを受けたり、監査法人内でのプレッシャーもあるだろう。
社会一般に理解してもらうのであれば、このような監査人の苦悩も表現されれば良かったのではと思うのは私だけだろうか。