「会社法の改正」

 今年の5月1日より会社法の改正施行が決定しました。
 
 そもそも「会社法」は、平成18年5月からスタートした新しい法律です。それまで会社の法律は、「商法」や「有限会社法」など様々な法律に分散していましたが、これが「会社法」として一本化されました。
このときの改正は主に中小企業を含む会社全般を対象として、経営の自由度の拡大を目的に行われたのが特徴です。例えば、有限会社の廃止や資本金1円会社の設立、1人取締役会社などは記憶に新しいと思います。
これにより、起業の幅も広がったのではないでしょうか。

 ところで、今回の改正は主として上場会社を対象とし、経営者に対する規律の重視に重点がおかれているようです。
そのうち、中小企業にも影響のありそうな点としては、「多重代表訴訟」が挙げられます。「多重代表訴訟」とは親会社の株主が、子会社の取締役・監査役などを訴えて損害賠償を請求できる制度です。持株会社(ホールディング・カンパニー)等のグループ経営が普及する中、親会社の子会社に対する監督が不十分などの理由により、子会社の不祥事や業績の悪化がグループ経営に悪影響を及ぼし、株式価値を毀損する事態が懸念されています。
そこで、このような事態から親会社の株主を保護するという観点から新設されました。
この制度が適用されるのは、100%親子会社のうち子会社株式の簿価が総資産の20%を超える重要な子会社のみに限られますが、中小企業でもこの条件が満たされる可能性がある場合には適用されます。

 会社法に限らず、法人税・所得税など様々な法律が毎年のように改正を加えられています。株式会社をめぐる最近の社会経済情勢を反映し、適宜改正が盛り込まれていく法律に、背景を理解しつつ対応していきたいと思います。