「慣習」の威力

 習慣と慣習は似ていますが、「習慣」は個人的な決まり、「慣習」は集団の決まりです。
しきたり、特定の集団に規範、慣習が行われていることを「慣行」といいます。
「郷に入っては郷に従え」というように、従業員は所属する職場の慣習に従うことが通常ですよね。

 例えば、9時始業と就業規則に書かれていても30分前には着席することが個人的な「習慣」なのか、暗黙の了解で30分前には着席・仕事をする「慣習」なのかは大きな違いです。後者であれば早朝残業となってしまう可能性があるのです。

「慣習」が威力(法定効力)を持つには・・・
・長年継続されている(事実)、みんながしている(普遍性)、社長が黙認・是認している、公序良俗に反しない、合理性があることなどが要件になっています。
威力を持つとどうなるかというと・・・
 労働契約になる、使用者をしばる、就業規則の解釈基準になります。
例えば、社長がある遅刻の常習犯を長年黙認していて、ある日遅刻を理由に懲戒処分をすることは難しいのです。

 もちろん規則に反するもの、社長の意思に反する慣習(社長に見つかるとマズイもの)は無効です!

「慣習」に至らない「前例・先例」も軽視してはいけません。
同じような事態で前例と違う取扱いをする時は従業員のモチベーション低下や不平不満にならないように気をつけなければいけません。
 社長の善意での対応も、今後の前例となるのです。従業員が多くなれば臨機応変な対応は限界がありますので規則が便利ですね。

「規則」というものは組織には必要ですので、定期的に会社の実態や社風と合っているか、という視点で見直されるといいと思います。
 社長の知らない「慣習」、黙認の「慣習」などありそうですか???