会計情報を公開して業績アップ(実践編)

前回、会計情報を公開することによるプラスの効果を私自身の経験から説明させていただきました。この効果は、会計事務所に限ったことではなく、ほとんどの会社で期待できるものだと感じています。
そこで、今回は実践する上でのポイントについて書いてみたいと思います。

情報公開する際のポイントは以下の4つです。
①公開内容を選定する
損益計算書の大枠を公開することからスタートすると良いと思います。
無理に個別の役員報酬額などをオープンにする必要はないと思いますが、少なくとも売上高、粗利益(率)、人件費合計とその他費用合計、経常利益が分からないと全体像を把握しにくいと思います。
②情報を理解するための研修を行う
せっかく公開してもそれを正しく理解できないのであれば、意味がないどころか逆効果になる可能性もあります。
簡単な仕組み(どうすれば利益が増えるか)について理解できるよう研修をするべきだと思います。
(石田会計も研修のお役に立てれば幸いです。)
③権限委譲をすすめる
経営感覚を持ってもらうためには、従業員の裁量を増やして、自ら判断・行動した結果を直接受け止められるようにします。これにより、責任感と達成感を感じることができます。
④成功報酬でやる気を喚起する
目標が達成できたら、あらかじめ決めた方法で賞与等で還元すると、モチベーションが高まると思います。また、なるべく多くの従業員に還元できる方法が良いと思います。

会計情報を公開することは、リスクやプライバシーの問題を伴う部分があり抵抗もあるかと思います。
しかし、会社の置かれている状況を知らないでいると、従業員の誤解や無責任、無関心を生みます。
例えば、経営者が「会社は赤字だから給与は上げられない」といくら説明しても、会社の収益構造を知らない人において、「赤字なのは経営陣の責任だ」とか「役員が給料をもらいすぎなんだ」といった誤解を招きかねません。
また、従業員が会計情報を正しく理解し、従業員一人ひとりが経営に関心を持つことができれば、経営者では気づきにくい無駄をなくすことができたり、現場からの改善提案の増加が期待できると思います。

思い返してみると、業績の良い会社ほど情報公開度が高い印象が強いので、そこには大きな関連性があるのではないかと思っています。
従業員と「Win-Win」の関係を築けるように、まずは損益計算書の大枠から公開してみてはいかがでしょうか。

by 加古宗利