「永遠の0」

ある日、書店へ立ち寄った。ベストセラー本のコーナーだったと記憶しているが、「永遠の0」(永遠のゼロ)という文庫本が平積みされているのを見つけた。 私が購入したのはいつだっただろうか?まだ書店で売っていたのかと思いながら眺めていると、著者のサイン入りのようだ。100万本を優に超えるベストセラーなので、ファンも多いだろうから2冊目として購入する人もいるのかもしれない。

「永遠の0」と聞いてどんな内容の本だと想像されるだろうか。既に読んで知っている人も多いと思うが、0(ゼロ)というのは、いわゆる零戦のゼロである。これで戦争時の話だと想像できると思うが、主人公とその姉が、戦闘機搭乗員として特攻で亡くなった実の祖父(宮部)の生涯を、解き明かしていくといった内容のフィクションである。

私が読んだのが数年前だからかなり記憶が薄れているが、涙が流れたのは今でも覚えている。 「娘に会うまで死ねない」と、あれほど生きて帰ることに執着した宮部が、なぜ最後にあのような行動を取ったのか・・・私にはそれが今でも謎である。 現代の平和な日本で育った私には理解できないということなのだろうか・・・ただ、生きていられることがどれほど幸せなことかと、感じた。

故児玉清さんは、解説の中で「僕は号泣するのを懸命に歯を喰いしばってこらえた。が、ダメだった。」というようなことを述べられている。何を感じるかは千差万別であるから全ての読者が涙を流すかはわからない。興味が湧いた方は読んでみるのも良いと思う。