「挑戦し続けることの大切さ」

 先日、愛知県美術館で開催していたシャガール展に行ってきました。誰しも一度は聞いたことがある画家の名前だと思いますが、私も同じようにシャガールに詳しいわけではなく、何となく絵のモチーフと色彩が気になって訪れました。

 入り口からはパリ・オペラ座の天井画の下絵が何枚も並んでいました。さすがに実物を見ることはできないので、たくさんの下絵が展示してあるのだと最初は思いましたが、思いつくままに感覚的に描いているイメージとは違い、試行錯誤しながらモチーフや色彩を入念にチェックしているのがうかがえました。

 続いて舞台美術や衣装、彫刻、ステンドグラス、タピスリー(織物)など媒体の異なる作品が展示されていました。特にタピスリーは、絵の具のように色が完全に混ざり合うことはなく緻密に描くことはできませんが、生地の厚みや質感、凸凹などが独特で、何より少し遠くから見てもとても迫力があって絵とはまた違った良さがありました。キャンバスに描かれた絵もありましたが、並んで展示されていなかったら同じ絵だと気付かないほど色彩や情感が異なるものもあって多彩な表現力に驚きました。

 最後に唯一シャガールの制作風景の撮影を許されていたイジスによる写真が展示されていました。シャガールの作品のスケールの大きさに圧倒され、完成までに何枚も描かれた下絵や色々な媒体に挑戦してきた作品などを思い起こしました。

 今回シャガールの作品を見ていて一番強く感じたのは、晩年まで衰えない旺盛な探究心と制作意欲でした。常に挑戦し続けるエネルギーの強さがひしひしと伝わり、その大切さを改めて感じました。