「移転価格」

国際的な企業や、そうでなくてもグループ内の企業が海外にある場合には、移転価格の問題がしばしば問題になる。
国ごとに税率は異なるので、関連者との取引価格の設定次第で、それぞれの所在国での納税額が変わるからだ。
ちなみに移転価格とは、関連者との取引価格である。

例えば、インドは税率が比較的高いため、厳しい移転価格税制が導入されているようだ。
関連者との取引が1ルピー(約1.7円)でも存在する場合には、移転価格証明書を作成し外部のインド勅許会計士による証明を受けなければならない。そして、各税務年度の終了後に納税申告書と共に提出しなければならない。
この提出義務を怠ると約20万円の罰則が課される。

インドでは国外からの直接投資が増加している中で、外国企業に対する移転価格課税事例も増加の一途を辿っている。
2001年から2008年の8年間で、移転価格調査による更正件数は239件から1,343件に増加(構成比率は23%から52%に増加)している。また、更正金額も約207億円から約7,570億円に増加していて、移転価格リスクは確実に高まってきているようだ。

日本でも移転価格税制は導入されており注意しなければならない。
経済のグローバル化は今後もますます進み、国際取引も増加していくことが予想される。
移転価格リスクも高まるだろうし、移転価格税制がメジャーな税制のひとつになる日が来るのも、そう遠くないのかもしれない。