「新たな趣味」

 最近、趣味のひとつに「刺繍(ししゅう)」が加わりました。

 きっかけは、友人のお宅に訪問した際、リビングに素敵な壁掛けが飾ってあったからです。聞いてみると、手作りの刺繍ということで、こんな素敵なものが作れるなら私もやってみたいなと思ったのがきっかけです。裁縫は、どちらかといえば苦手なほうですが、興味が先行して、楽しくすすめています。

 ひとくちに「刺繍」といっても種類がいろいろあるようなのですが、私がやっているのは一番簡単なクロスステッチのみの刺繍です。名前のとおり、×(クロス)印の縫い目を並べていくことにより図案を完成させる方法で、難しいステッチを使うこともなく、図案通りにマス目状に針を刺していくことで、完成していきます。
一針一針と刺しているときは、単純に×印の整列でしかないのですが、徐々に進めていくことで図案が完成していくのが楽しいです。色が変わるたびに、糸の端を始末して、次の糸に変更していくのですが、図案のどこから進めていくかによって始末する回数にも影響して、単純作業の中にも工夫が必要になります。
完成後に布の裏を見てみると、自分がどの道筋で縫い進めてきたのかがはっきりと分かります。やみくもに進めていくのではなく、最終的な完成図案を常に思い描きながら作業することで、糸の無駄もなくなり、布の裏にでる糸の始末も少なくて済み、結果として美しいものが出来上がることになります。

 仕事のうえでも、ある業務を進めていくときに、そのことにだけ集中して前に進むことばかり考えてしまうことがあります。しかし、それが全体の仕事のどの部分なのか、全体を完成させるのに手順として間違っていないか、ということを常に念頭に置かなければいけないということを改めて感じました。余分な糸を使うことなく、いかに少ない作業で進めていくかで、完成したときの美しさが違ってくるのです。

 まだ始めたばかりですが、大作ができるようになるまで根気よく続けていきたいと思いました。いろいろなことを忘れて集中できる、私にとっては大切な時間です。