「企業再生に携わって」

 企業再生に携わっている知人から、企業再生業務の中でも特に財務や会計分野を手伝って欲しいと依頼を受けることがある。
 企業再生業務は、企業が金融機関借入を返済することができなくなり、助け舟を求められることが多い。

 金融機関借入が無ければ、業績が悪化してから、会社を自主的に解散するという選択肢を比較的取りやすい。
 しかし、業績が悪化した企業に金融機関借入が残っていると、全額返済できなければ会社を自主的に解散するという選択肢が取れず、取りうる選択肢が非常に限られるだろう。
 このため、社長が解散したくても、止む無く事業を継続して金融借入を返済していくのか、破産という道を選択するのかぐらいしか実質的には残されていないケースが多い。

 金融機関借入のある業績悪化企業が何もしなければ、「業績悪化」→「資金繰り破綻」→「破産」という道を辿ることになる。
 もし、社長に再生したいという思いがあれば、資金繰りが破綻する前に、
・経営面・事業面の良い所や悪い所の調査、改善策の提案
・財務の状況や資金繰りの調査、金融支援を受けるための返済計画の作成
など、専門家の協力を得ながら、「資金繰り破綻の回避」→「再生」という可能性にかけることができる。

 専門家が協力したからといって全ての企業が再生できるわけではなく、また会社の事業そのものが改善しなければその場しのぎの行為になってしまうこともある。
 ただ、業績悪化企業の社長は、金融機関対応や資金繰りに時間を取られることが多いため、第一義的には、改善策や返済計画の作成などで金融支援を引き出し、社長を資金繰りのための奔走から開放してあげるのも重要な役目だろう。
 私は財務状況の調査や返済計画の作成で関わることが主だが、関わった企業が数年後再生を果たしていればこれほど嬉しいことはない。