「人工知能とクラウド会計」

 人工知能のAlphaGoと、韓国のプロ棋士イ・セドル氏が囲碁の五番勝負を行い、人工知能が4勝1敗で圧勝したというニュースを聞いた人もいるのではないだろうか。

 人間が負けたこと自体に驚きはなかった。
 世界の囲碁関係者の間では、人工知能が人間に勝つには10年かかると思われていたにもかかわらず、人間が負けた。
 要するに、人工知能の進化が人間の想像を超えているということに非常に驚いた。
 映画のターミネーターのような世界が訪れると言う人もいるようだが、あながち大げさでもないのだろうか。

 会計の世界でも人工知能の波がやって来ている。
 最近ではクラウド会計という言葉が定着しつつあるが、クラウド会計も人工知能の一種である。
 口座と連携しクラウド会計に口座情報を取り込めば、自動で仕訳を入力してくれる。
 今は使い勝手が悪い部分もあるのだが、そう遠くないうちにインストール型の会計ソフトより使い勝手が良くなるのではないかと思う。
 そうなると、入力といった仕事はかなり減るだろう。
 仕事を人工知能に奪われると考えるか、人がやらなくて良いことを人工知能がやってくれると考えるかはその人次第だが、会計業界の記帳業務はかなり縮小するだろう。

 さらに先を考えれば、どの特例が適用できるかなどは、法令などを調べるのに時間がかかる業務であるが、人工知能であれば数秒で判定できる時代がやって来るのではないだろうか。
 また、この取引は経費計上できるのかどうかなどの判断もやがて人工知能に置き換わるかもしれない。
 法を遵守した上での節税提案や経営上の助言、お客様の悩みを聞きだすコミュニケーション能力・経験など、短期間で人工知能に置き換わると考えられないものを、意識して磨いていく努力をしないといけないと考えさせられた。