継続的な進歩

 ある日、家に帰ってテレビをつけると、落合務シェフが番組に出演していました。
落合シェフはイタリアンの先駆者で、テレビや雑誌への出演、レシピ本の出版、エスビー食品の予約でいっぱいの店のパスタソースをプロデュースするなど幅広く活躍していますが、
多忙でも毎日できる限り厨房に立っているそうで、オーナーを務める銀座のレストランは「日本一予約がとりにくい店」と評判です。
そんな落合シェフが「リピーターはこうつかめ!」と題して、その秘訣として自身の料理哲学を3つ紹介していました。

1.同じ味を出すこと。同じ味とは、実はゆるやかに進歩し続ける味である。
季節や天候、素材など日々条件が異なることはもちろん、全く同じように作り続けていたら、2回目は満足して頂けない、3回目は味が落ちたと思われる。
確かに1回目の感動は大きく、2回目までには感動からさらに期待が膨らみ、同じ味だとこんなものかと次第に慣れてしまいます。

2.店ではどのお客様も平等である。
店のスタイルは、ディナーコースで3,990円のプリフィクスとなっていて、前菜、パスタ、メインを60種類以上のメニューから何を選んでも追加料金は一切なしです。
その分築地に通って、新鮮でも数や種類が半端な魚を安く仕入れるなど、質を落とさずコストを落とす工夫をしています。
そのような工夫ができるのは、すぐれた目利きや、市場に通って築いた人脈、選んだ食材を使いこなす腕があるからだと思いました。

3.同じことを繰り返すのが仕事であり、その中で進歩していくのがプロである。
ずっと同じ仕事をしていて飽きたなどと言う人がいるけれど、同じことの中でもコツコツと工夫を繰り返し、自分で考え努力してより良いものを生み出していくことができなければプロではない。

 これらの料理哲学は、分野は違うとはいえ仕事をするうえで共感できることがたくさんありました。
次にお客様にお会いするとき、また長年お付き合いさせて頂く中でも、お客様と共に常に前進し続けたいと思います。
また、よりお客様に満足して頂ける部分に時間や労力を費やすことができるよう、自分自身の能力向上にも努めたいと思いました。