生命保険の目的と出口戦略

生命保険は会社の経費のなかで重要度が高いものですが、契約した目的がすぐ思い浮かぶ方は少数ではないでしょうか。
個人的には生命保険を契約する目的として特に重要なのは、以下の2つだと考えています。
・経営者の万が一に備える
・節税対策
それぞれの目的に沿った契約をするための注意点を考えてみたいと思います。

まず、経営者の万が一に備えた保険は、会社が黒字か赤字かにかかわらず必要なものだと思います。
というのも、会社を存続させるか否かにかかわらず、その後に多額の資金が必要となるケースが多いためです。
契約にあたって適正な保険金額は会社によって様々ですが、以下の3つの合計額がひとつの目安となります。
①借入金残高
②半年分の固定費(人件費等)
③遺族が受け取る死亡退職金
そして、長期間継続して支払えるものでなければなりませんので、掛け捨てタイプの商品が資金繰り上も良いと思います。

継続的に利益が出ている会社は節税対策として高額の保険も契約されていると思います。
この場合は、解約返戻率が高い時期に解約することが前提となりますが、「解約時の収益をどうするか」という、いわゆる出口戦略が大切です。
例えば、主要メンバーの退職金の支払いや臨時的な損失の時期とセットにすると節税効果が期待できます。
また、法人税の実効税率の引き下げが実現すると、現状の収益を先送りするだけで税率の差額分の節税効果がありそうです。

経験上、生命保険を契約した理由を伺うと、「良い保険だと勧められたから」「目先の納税を減らしたいので」といった回答が多い気がします。
しかし、保険はその目的を明確にした上で長期的な視点で検討しないと、思わぬ損失が生じることが多いものです。
また、会社の経営状態の変化により契約の見直しも必要となってきます。
後になって後悔することのないよう、契約前や見直し時には事前にご相談いただければと思います。