内部統制の視点で観る「半沢直樹」

私は普段ドラマを見ることはほとんどないのだが、今回「半沢直樹」というドラマを見ている。
銀行員の話ということで興味があったのだ。

ドラマの前半では、東京中央銀行大阪西支店の支店長が、西大阪スチールへ5億円の融資を実行する見返りに5千万円のリベートをもらうという話があった。
これは、会計監査の世界では従業員不正と呼ばれるものだが、銀行でなぜこんなことが起きるのかと思われた方もいるのではないだろうか。
それは内部統制が有効に機能しなかったということだろう。

内部統制とは、簡単に言うと、業務の有効性及び効率性を高めることや、財務報告の信頼性を確保することなどのために、組織を整備・運用することである。
都市銀行では内部統制の整備・運用が義務付けられており、さらに公認会計士による内部統制監査も義務付けられているため、不正が頻繁に起こっているわけではない。

たしかに、内部統制を整備・運用することにより、不正が発生する可能性は相当程度低減できる。
ただ、複数の担当者による共謀や、経営者による内部統制の無視など内部統制には限界があるため、不正の発生可能性をゼロにすることはできないのである。

このドラマのケースで考えてみると、支店長が、株で大きな損失を出し穴埋めをしなくてはいけない状況になったこと(動機)と、支店では支店長が最大の権限者であり、支店長がその立場を利用して適正な融資審査ができないように急がせたこと(機会)が不正の要因だと考えられる。

動機は、コンプライアンス研修等を実施して従業員のコンプライアンス意識を高めて抑える、機会は、内部統制を適切に整備・運用して抑える、などにより不正が発生する可能性を低減させる必要があるだろう。
内部統制の整備・運用は中小企業には義務付けられていないし、コストと時間もかかりますが、もしニーズがあれば当事務所に相談いただければと思います。