「経営の長期安定化をめざして」

中小企業の大部分が赤字経営という話をよく聞きます。
これは、会計事務所の職員として仕事をしている中でも痛感させられますし、地元の商店を見回してみても、子供の頃に繁盛していたお店の多くが閉店していたり、開店休業状態になっていることでも思い知らされます。
どうしたら会社を長く安定的に続けられるかは非常に大きな問題だと思います。

私は以前勤務しておりました会計事務所で、創業以来30年間一度も赤字を出したことがない会社とお付き合いをしたことがあります。
担当させていただいた3年間だけを見ても、売上も右肩上がりと順調で利益率もかなり高い状況でした。
経理内容を把握する中で気づいた、その会社が好業績を続けられたポイントとしては、以下の3点が挙げられます。

(1)製品のライフサイクルを強く意識している。
(2)時代のニーズを予測し、付加価値の高い製品開発をしている。
(3)事前に新製品のテストや協力会社のネットワーク作りをし、他社より半歩先の製品化を目指している。

同じ製品が高収益を生む期間は長くありません。したがって、主な製品を常に3~4種類持ち、しかも収益力のピークがずれるようにされてました。これにより、収益力において一つの製品が低下しても、他の製品が上昇する時期になるように計画されていました。

また、社長は常にノートと新聞の切り抜きをお持ちで、新聞記事や同業者等との話から将来的なニーズをノートに書き留め、新製品開発のための構想を練られていました。他社に先駆けて、特許等の申請も積極的に行っていました。

そして、製品化は早すぎても遅すぎても投資効率が悪くなってしまいます。最も投資効率の良い時期(その社長は半歩先と表現されていました)にGOサインを出せるように、充分な準備をされていました。

このようにして、創業以来、黒字経営を続けてこられたのだと思います。

私ども会計事務所の業界においても、従来主流であった記帳・申告業務だけでは、生き残りが難しい時代となっております。
IT化が進んだ今日では、記帳は会計ソフトで簡単にできますし、法人の確定申告で簡単なものであれば、自社で処理可能な会社がでてくることも予想されます。
これからの競争・淘汰の時代に生き残るために、半歩以上先を見据えたサービスのストックを増やすため、よりお客様から喜ばれるものを模索していきたいです。
さらには、ライフサイクルを意識し、時代ごとに収益力を持ったものを提供でき、この仕事が長く続けられたらと思います。

by 加古