「ブランド力」

先日、知多半島のとあるお店で食事をする機会がありました。そこは海鮮料理を提供するお店が2軒並んでおり、一方は名古屋近辺では有名なお店でその日もお店の外までお客さんが待つほどの盛況ぶりでした。
私も以前にそのお店に行ったことはありましたが、今回は待ち時間を避けるために隣のお店に入りました。私が入ったそのお店は、私たちの他に一組しかお客さんがおらず、隣のお店とあまりにも対照的過ぎて心配になるほどでしたが、出てきた料理は隣のお店と何ら遜色なく新鮮でとても美味しいものでした。

ほぼ同じ品質の料理をほぼ同じ価格帯で提供しているのにもかかわらず、何故盛況ぶりにここまで大きな差が出てくるのかとても興味深いのですが、一つは単純に「有名店だから」ということにあるのだと思います。いわゆるブランド力という付加価値です。

その有名店の創業者は女性の方ですが、終戦直後から魚介類を行商し、それをきっかけに鮮魚店、旅館を開業し、その後会社を設立して名古屋市内やその近郊に何店舗も展開して会社を大きくしたという地元では有名な方で、一種のカリスマ的存在になっていました。
この創業者に対する好意的なイメージがこのお店のブランド力を強くしたのだと思います。

ブランド力は、それを確立させるまでがとても大変です。ですが、一度ブランド力を確立さえすれば商売をするうえでとても強力な武器になります。
今は、たいていの商品は、差別化特性を失い、ライバル企業と有為的な差を生み出すことができず、結局のところ価格勝負になってしまうことが多いですが、このような強力なブランド力があれば、同じ品質でも価格勝負することなく競業企業に大きな差をつけられることを実感させられました。

隣接する料理店の盛況ぶりの差を目の当たりにして、いろいろ考えさせられた休日になりました。